「結婚は?」「転職は?」実家に帰るとモヤモヤ…「帰省ストレス」の対処法を臨床心理士がアドバイス
「自分は親不孝なのかも……」それって本当?
実家に帰省することでの諸々にイライラすると思いつつ、そんな自分に対して「親不孝なのではないか」という疑問や、罪悪感を覚えているというYさん。そんな心境を思うと、苦しいだろうなぁと思います。でも、ちょっと考えてみてほしいのですが、それって本当に親不孝なことなのでしょうか? 家族であっても、性格や価値観が違いますし、合わないと思うところや、行動や言動にイライラするのはあり得ること。なので、Yさんが両親の発言や、お母さんの愚痴に対してムカっとするというのも、自然なことだと思います。それでも、Yさんが自分に罪悪感を覚えるのは、「家族なのだから理解しなければいけない」といった思考が頭の中にあるからなのではないでしょうか。家族にまつわる、こうすべき・しなければいけないといった誤解のことを【家族神話】と呼んだりしますが、この家族神話に悩まされる人は非常に多いものです。もし家族にまつわることで悩んでいる人がいたら、こうした家族神話が自分の中にないか、一度考えてみることで、少し気持ちが楽になるかもしれません。
家族にイライラした時に試したい、対処法とは?
▼アサーティブに伝える 家族であっても、言われたら嫌なことはありますし、それをガマンしなければいけないということもありません。Yさんは将来のことについて言われることが嫌だということでしたので、その気持ちは伝えた方が良いと思います。とはいえ、伝え方には頭を悩ませるものですよね。そんな時におすすめしたいのが【アサーション】という、自分のことも相手のことも大切にした伝え方。例えばYさんの場合であれば、「私の将来のことは放っておいて!」よりも、「心配してくれてありがとう。でも、もう大人だから自分のことは自分で考えたいんだ」「心配なのは分かるけど、せっかく帰ってきたんだから、楽しい話がしたいな」というような感じで伝えてみるのはいかがでしょうか? ▼相手の行動や自分の感情に名前をつけて、距離をとる Yさんのもう一つの悩みが、お母さんの愚痴を聞いていてアドバイスすると、「でも……」と返され、それにイライラするということでしたよね。相手の行動を変えるというのは残念ながら難しいのと、自分の中でイライラを感じないようにするというのも至難の技ではないかと思うのです。そんな時におすすめしたいのがそれらを擬人化すること。例えば、お母さんが「でも……」と言い出したら、「あ、でた! デモ星人」と名前をつけて心の中で唱えてみたり、Yさんの中にイライラの気持ちが湧いてきたら、イライラを炎に見立てて、「イライラの炎が大炎上しそうだな」といったように名前をつけることで、感情と距離をおくことができたり、感情に振り回されてストレスが溜まるのを防いでくれるのに役立ちます。
物理的に距離をとり、身を守るのも大事
対処法をお伝えしていても、家族が相手だとうまくいかないことも多いと思います。どうしてもしんどい時は、帰省する頻度を減らしてみたり、直接言いたいことを言うのが難しい時は、メールなどを活用してみたり。物理的に距離を取りながら関わっていくのは、決して悪いことではないです。家族であっても合わない人はいますし、一緒にいれば楽しいことだけでなく疲れることや、イライラすることだってあるもの。自分を責めずに、ストレスを感じずに付き合える距離感を探していけると良いですね。