大阪の初春を彩る大輪の花、坂東玉三郎が松竹座で舞踊公演 1月は仁左衛門と共演も
「初演のとき、前進座の五世河原崎国太郎さんに『悪婆には愛嬌がなくちゃいけない』と教えていただきました。どんなに悪態をついても、かわいげというか、おかしみのようなものがないといけないのです」
国太郎に言われたことでもう一つ忘れられない言葉がある。
「あなたね、亭主役というものにしっかりついていくことが大事よ」-それが現在まで続く仁左衛門とのコンビということなのであろう。昭和46年の「於染久松-」を皮切りに、夫婦役や恋人役などで次々と共演。美貌のコンビは歌舞伎の枠を超えて人気を呼び、玉三郎は「今でいうアイドル的存在だったのかもしれませんね」と振り返る。
舞踊「神田祭」では、仁左衛門が江戸の鳶頭(とびがしら)、玉三郎が芸者にふんし、粋であでやかな踊りを披露する。「お客さまには2人が思い合っている雰囲気が見えてくれば」と言い、「来年も一期一会のつもりで、精いっぱいの舞台を勤めたいと思っています」。(亀岡典子)