数値化が苦手なマネジャーは、なぜ感情的に部下を叱るのか?
■「一般的なマネジメントの数値化」と「キーエンスの数値化」は何が違うのか? 経営者の方やマネジャークラスの方にお話を伺うと、「いやいや、うちだって数値化はしていますよ」と言われることがあります。 しかし、「数値化はしているのだが成果が出ていないんだよねぇ」と言うのでさらに詳しく聞いてみると、その数値化がキーエンスの数値化とはだいぶ異なっていることがわかります。 それでは何が違うのかというと、一つは「目標の精度の高さ」です。 キーエンスでは本社で目標が設定されますが、その精度は実現可能性に対してプラスマイナス3%の誤差になっています。 根拠がないのにやたらと高くて精度が低い目標を打ち上げた場合、もしも達成できていなくても、「まぁ、あくまで目標だから」といった自らを甘やかすような受け取り方をされてしまい、結局行動を改善する動機づけに至りません。 キーエンスの場合は、たとえば受注件数であれば、季節性や決算の時期との関係性なども考慮されたとても精度の高い目標が設定されます。 ですからそこには、僅かといえども目標を達成できないはずがないという厳格さが生まれます。 もう一つの違いは、「数値化で明らかになった変化の原因がきちんと追究されているかどうか」です。 キーエンスの数値化ではプロセスごとの数字を追跡しますので、行動と結果の因果関係が明確にされます。 成果が出せていない企業では、数値化しているといっても、行動と結果の因果関係を追跡できないほどに大雑把なのです。 ですから、成果が出せていないときに、その原因がアポの数にあるのか商談化率の低さにあるのかといった具体的な原因を明らかにできません。 そのため、「なんとなく空中戦をしている」といったあやふやな感覚になり、漠然と「頑張りが足りなかった」といった言い訳しか出てきません。 しかし、キーエンスの場合は、顧客の規模別に原因を追究して、お客様から問い合わせがあったものとなかったものとでどのように成果の差があるのかなどまでがわかるようになっています。 つまり、キーエンスの数値化では行動と結果の因果関係を追跡できるほどにプロセスを分解しているわけです。
岩田 圭弘