数値化が苦手なマネジャーは、なぜ感情的に部下を叱るのか?
仕事の結果は、数字で分解することで初めて改善点が明らかになる。「うちだって数値化はやっている」と胸を張る経営者やマネジャーは少なくない。問題は、数値化が成果を高めることに結びつかないことだ。キーエンスでマネジャー経験がある岩田圭弘氏は、高い成果を生む数値化は「目標の精度の高さ」が違うという。本連載では、『数値化の魔力“最強企業”で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』(岩田圭弘著/SBクリエイティブ)から内容の一部を抜粋・再編集し、チームのマネジメントに欠かせない数値化の基本を紹介する。 第8回は、数値化による精度の高い目標設定と、行動と結果を追跡するプロセス解析について解説する。 ■数値で「マネジメントを見える化」する キーエンスではチームを数値でマネジメントするために、各メンバーの出した数字を合計した数字を確認することから始めます。 全体の数字がKGIに対して不足していれば、プロセス単位の数字を確認します。プロセス単位でKPIに到達していない数字を見つけ出したら、そのプロセスにおける各メンバーの数字を確認します。 すると、そのプロセスにおいてどのメンバーが成果を出せていないかを見つけることができます。 このように、チームの状態をメンバーごとにプロセス単位で確認できる透明性が、数値化の大きなメリットです。 一方、数値化において透明性を確保できていないマネジャー(中小企業では経営者自身の場合もあります)は、月末に初めて業績が悪いことに気づいて、「なんでこんなに数字が足りていないんだ!」と感情的になってしまうのです。 しかし数値化によってマネジメントに透明性を確保できていれば、まさに問題が生じているリアルタイムで改善策を指示できますので、月末になって慌てることがありません。 したがってチームの数値化は、メンバーにとってもマネジャーにとってもお互いにストレスフリーな関係を維持できる施策だと言えます。 つまり、マネジャーが日次でチーム全体のプロセス単位の数字を追跡することは、チーム全体の行動の結果を追跡することであり、問題のあるプロセスを見つけ出してメンバー単位の数字を確認することは各メンバーの行動の結果を追跡できていることになります。 仕事の結果というのは行動からしか生まれないのですから、結果を数字で分解することで初めて改善すべき行動を明らかにすることができるのです。 それこそがキーエンスで言うところのマネジメントです。 マネジャーがメンバーに対して闇雲に発破をかけることがマネジメントではありません。