市場浸透始まる…韓国ファッションコマーススタートアップに1000億ウォン投資した中国アリババの戦略
韓国コマース市場で「Cコマース」(中国eコマース企業)の存在感が強まっている。アリエクスプレスで韓国eコマース市場に進出した中国アリババグループが韓国ファッションコマーススタートアップに1000億ウォン(約107億円)を投資した。 ABLY(エイブリー)コーポレーションは中国アリババグループから1000億ウォンの投資を誘致したと2日、明らかにした。ABLYはコマースプラットホームABLYと男性ファッション専門モール4910、日本ファッションモールのamood(アムード)などを運営する企業。 ABLYは今回の投資誘致で3兆ウォンの企業価値が認められ、ユニコーン企業(企業価値1兆ウォン以上のスタートアップ)となった。ABLY側は「直前の投資だった2022年1月のプレシリーズC投資誘致当時と比べて企業価値が3.5倍に高まった」と説明した。 ABLYは今回の投資誘致をきっかけに米シリコンバレーおよび海外国富ファンドなどと議論を続け、計2000億ウォン規模のグローバル連合投資を誘致する計画だ。投資金は新市場開拓などに使用する計画だ。現在ABLYは日本市場にだけ進出している。会社関係者は「アリババはアジア、欧州など海外に進出するパイプラインがよくなっているだけに、協力してグローバル市場にさらに進出できるとみている」と話した。 アリババは韓国eコマースプラットホームの株式を確保した最初の事例だ。アリババの正確な持ち株比率は公開されていない。業界は今回の投資誘致を事実上ABLYを通じたアリババの韓国市場拡張進出と解釈している。すでに韓国eコマース市場ではアリババの系列会社アリエクスプレスをはじめ、Temu、Sheinなどの中国系eコマース企業が入っている。各種有害商品や不公正約款の問題がある中でも韓国市場への攻撃的な投資を続けて定着する状況だ。 10年ほど前、ゲーム業界でも中国ゲーム会社は似た市場進入戦略を見せた。ネットマーブル、クラフトンなどにテンセントのような会社が投資した後、国内企業とのいくつかの協業を通じて市場を拡大し、技術力を高めた。韓国主要ゲーム会社のネットマーブル、クラフトンはテンセントが2番目に大きい株主だ。現在、国内グーグルプレイモバイルゲーム売上高チャート上位10位に中国ゲームは4つ入っている。4、5年前まで中国のゲームが国内チャート10位内に入るのは珍しかった。 「トランプ2期目」にはC(中国)コマースプラットホームが本格的に韓国eコマース生態系に浸透すると予想される。米国が自国優先主義を前面に出して中国とロシアに高い関税を賦課する場合、代案として韓国市場を選択する可能性が高いからだ。業界ではCコマースの国内企業追加投資、買収の可能性もあるとみている。竜仁大のパク・スンチャン中国学科教授は「以前のゲーム業界で中国企業の浸透は『韓国ゲームを配偶者』とするものだったとすれば、今回のCコマースの浸透は『我々の製品を売ろう』というものだ」とし「eコマース市場取引額(GMV)が大きく地理的に近いため、Cコマースにとって韓国は戦略的な利点が大きい市場」と説明した。 韓国もCコマースをうまく利用すれば役立つという分析もある。世宗大のイ・ドンイル経営学部教授は「韓国のセラー(販売者)がアリババというプラットホームを通じてグローバル市場に進出するという点においてはプラス」としながらも「ただ、中国製品を紹介するプラットホームに転落することになる危険性は警戒する必要がある」と指摘した。 ロイターによると、アリババグループは先月、国内外eコマースプラットホームを一つに統合した「アリババ電子商取引ビジネスグループ」を設立することにした。淘宝(タオバオ)など国内eコマースのプラットホームとアリエクスプレスなど海外eコマースのプラットホームを一つの事業部に統合するということだ。Temuの親会社PDD、Tik Tokの親会社バイトダンス(字節跳動)など新興ライバルが登場している中、競争力を高めるための措置だ。