「乗らなくても」じゃなくて「乗らないほうが」ボロくなる! 長期間動かさないクルマがみるみる劣化するワケ
■バッテリーの性能低下
クルマのバッテリーは大きくて重いので、かなりタフだというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。そのせいか、ちょっと放置したくらいでは性能が低下すると考えていない人も少なくないように感じます。 しかし、バッテリーは放置によって確実に性能が低下します。いちばんの原因は「微弱電力の消費」でしょう。 クルマは始動していない状態でも微量の電力を消費しています。いわゆる「待機電力」というヤツです。リモコンキーからの信号を受信するために、ECUやセンサーは常に起きている状態を維持していなければなりません。 また、いまはほぼ見かけませんが、純正の時計や後付けの温度計などの常時電源に接続したアクセサリーも、微量の電力を消費します。 これらの電力消費量では半年程度でバッテリーが空になることはそうないと思いますが、それ以上になると完全に上がってしまうこともあります。 また、何らかの原因で蒸発したりして内部のバッテリー液が減っていくと金属パーツの劣化が進み、再生不能な性能低下を招くこともあるようですので注意しましょう。
■足まわりではサビや固着や劣化が進む
クルマの足まわりはアームやブッシュなどのいろいろなパーツで構成されていて、それぞれが稼働しながら性能を発揮していますが、この部分も動かさずに放置するとさまざまな症状が進行して作動を妨げるようになってしまいます。 その稼働を妨げる原因のひとつはサビです。足まわりで金属同士が直接こすれ合う箇所は多くありませんが、たとえばサスペンションのバネを支える部分などでサビが進むと、ギシギシといった異音の原因になります。 次にグリスの劣化です。ステアリングアームやラック&ピニオンのジョイント部分などにはゴムブーツの内部にグリスが封入されていますが、このブーツが劣化でひび割れた場合、内部のグリスの酸化が始まります。グリスによっては、劣化によって粘度が高くなり、ハンドルの重さが発生することもあります。 また、ゴムの劣化で注意したいのはブッシュの部分です。アームの付け根などには振動を吸収するためにゴムが挿入されていますが、それが泥水やオイルなどによって徐々に劣化していき、大事な柔軟性が損なわれていきます。稼働していればいろんな方向に荷重がかかるのでまだマシなのですが、放置していると一定方向にずっと荷重がかかるので、劣化に加えて変形してしまいます。この状態になると、きちんと性能を発揮できなくなるので交換が必要になります。