【定額減税続報】対象外だった「個人事業主の専従者&パート従業員」への救済措置が発表!詳細を解説
今年6月からスタートした定額減税。1人当たり4万円が減税されるというものだが、これまで個人事業主の専従者(事業専従者)と、パート・アルバイトで年収103万円超の人は、定額減税の対象から漏れることが問題となっていた。 定額減税では、配偶者や扶養親族分も、納税する本人の収入からまとめて減税することができる。ところが個人事業主Aさんの配偶者・Bさんが専従者である場合、Bさんは扶養親族等になることができないため、Aさんの定額減税の計算上では、対象外になってしまう。 Bさん本人の所得税・住民税から定額減税は可能だが、「専従者給与が年収100万円以下」の場合、所得税額と個人住民税所得割が0円になるため、定額減税の対象外となってしまうのだ。 一方で、パート・アルバイトで年収103万円超の人は、定額減税において扶養親族の対象とならないため、配偶者がいてもその配偶者の定額減税からは除外される。そのため、こちらも本人の給与から定額減税を計算するのだが、「各種控除を差し引いて所得税額と個人住民税所得割が0円」となる場合は、定額減税の対象外となる。 定額減税の「物価高対策として全国民を対象とする制度」という性格上、一部の人が対象外になってしまうことに異議を唱える声も上がっていた。 そのためか、内閣官房ホームページの定額減税の「よくあるご質問」が更新され、これらの人も一定の条件を満たすことで、定額減税の対象者となることが明らかになった。 では、具体的にはどのような措置が講じられるだろうか。佐藤全弘税理士に聞いた。 ● 対象外だった専従者・パート従業員へ「不足額給付」で支給されることに ーー 個人事業主の専従者、パート・アルバイトで年収103万円超の人は、それぞれどのように定額減税が行われるのでしょうか?対象となる条件などもお教えください。 「これまで定額減税の対象外とされていた個人事業主の専従者などについて、救済措置(不足額給付)が追加されました。具体的には以下のとおりです。 <想定される給付対象者> 下記の給付要件を満たす ・青色事業専従者、事業専従者(白色) ・合計所得金額 48 万円超の者(パート・アルバイトなどで年収103万円超の者) <給付要件> ・所得税及び個人住民税所得割ともに定額減税前税額が0円であり、本人として定額減税の対象外であること ・税制度上、「扶養親族」対象外であり、扶養親族等として定額減税の対象外であること ・低所得世帯向け給付の対象世帯の世帯主又は世帯員にも該当しておらず、一体措置の上で低所得世帯向け給付対象でないこと 給付額は1人あたり原則4万円です」 ● 給付は来年4月以降に?申請方法は市区町村によって異なる ーー 上記対象となり、定額減税が行われる場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか? 「現時点においては、基本的に対象者による必要書類の提示(申請)が想定されております。市区町村によっては確認書などの案内があるかもしれません。 また、市区町村によっては申請を不要とする場合もあります。詳細については、お住いの市区町村のホームページなどでご確認ください。 なお、給付される時期については、現時点では未確定ですが、早くても令和7年4月以降になるのではないでしょうか」 ●複雑な定額減税で、自治体ほか企業の事務負担も増 定額減税は原則「所得税や住民税から減税」する方法であるため、そもそも「控除などを差し引いた結果、所得税や住民税から減税できない人」で、かつ「扶養親族等としての定額減税の対象にならない人」への対応が遅れる結果となった。 なお今回の「不足額給付」は自治体が対応するが、6月から始まっている定額減税は、自治体だけでなく、企業の経理担当者やその企業の税務を担う税理士も対応に追われている。 定額減税は、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として実施された。3兆円を超える予算が使われることになるが、経済効果への有効性はいかがなものだろうか。 【取材協力税理士】 佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士 お客様の立場にたって、わかりやすい税金を目指すとともに付加価値の高いサービスを提供することをモットーに、お客様のニーズに応えられるパートナーを目指して活動している。 事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所 事務所URL:https://satouzeirishi.com/
弁護士ドットコムニュース編集部