夫が「自営業」だと、遺族年金は「ほぼゼロ円」って本当ですか? 毎月「保険料」も払っていたのに、なぜなのでしょうか…?
自営業の配偶者が亡くなった際に利用したい制度
自営業の配偶者が亡くなった際に、年金に代わる制度を使えば、一定額の給付を受けられます。代表的な給付制度は以下のとおりです。 ●寡婦年金 ●死亡一時金 ■寡婦年金 寡婦年金とは、国民年金第1号被保険者として年金保険料を納めている自営業の夫が亡くなった際に妻が受給できる年金です。受給するには、次の要件を満たす必要があります。 ●年金保険料を納めた期間や免除された期間が合計10年以上ある ●夫と10年以上継続して婚姻関係にある(事実婚含む) ●夫に生計を維持されていた 受給期間は60歳から65歳までの5年間です。また、受給額は夫が国民年金第1号被保険者として年金保険料を納めていた期間をもとに算出した老齢基礎年金額の4分の3です。 寡婦年金を受け取れれば、退職後から妻の年金受給開始後までの生活費に充てられます。受給対象は妻のみで「自営業をしていた妻を亡くした夫」には支給されません。 ■死亡一時金 死亡一時金は、国民年金第1号被保険者として保険料を36ヶ月以上納めている人が亡くなった場合に、遺族が受け取れる一時金です。子どもを産む前に若くして配偶者を亡くした人など、遺族年金や寡婦年金を受け取れる状況にない人が対象となります。配偶者だけでなく、子どもや父母、孫、祖父母といった遺族が受け取れます。 受給権は国民年金第1号被保険者が亡くなってから2年間です。受給金額は、保険料を納めた月数に応じて変わりますが、12万円~32万円とされています。また、亡くなった人が将来もらえる年金を増額するための付加年金に加入しており、付加保険料を36ヶ月以上納めている場合は、8500円が追加されます。 なお、寡婦年金と死亡一時金の併給はできません。どちらか一方を選択する必要があります。
自営業の人は家族に遺す資産をつくろう
自営業の人は自身で資産をつくらなければ、老後やもしものときに備えられません。特に事故や病気で突然亡くなってしまったときに資産がなければ、遺族の生活が急激に苦しくなる可能性もあります。 寡婦年金や死亡一時金といった制度にも頼りつつ、遺族が安心して生活できるくらいの資産づくりをしておくのが重要といえます。自営業の人ならではの制度である小規模企業共済や国民年金第1号被保険者のみが加入できる国民年金基金の活用などがおすすめです。 出典 日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額) 日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額) 日本年金機構 寡婦年金 日本年金機構 死亡一時金 執筆者:石上ユウキ FP2級、AFP
ファイナンシャルフィールド編集部