大の里、新大関優勝遠のく3敗目「もう一回、集中してやるだけ」 大相撲九州場所10日目
○大栄翔(寄り切り)●大の里(大相撲九州場所10日目=19日) 土俵下に落ちた大の里がわずかに視線を落とした。新大関優勝を目指し、圧倒的な相撲で白星を重ねていたが、ここに来て痛い3敗目だ。 【別カット】大の里は大栄翔の攻めを許し、不利な体勢となった 立ち合いは胸で当たり、左をはずに掛けながら、すさまじい出足で大栄翔を一直線に土俵際まで詰めた。しかし、左を差され、俵に足を掛けて残されてしまう。もろ差しを許して形勢逆転。左からの突き落としで苦しい局面を打開しようと、自ら右上手を離したところを寄り切られた。 珍しく四つ身で勝った大栄翔は「稽古場でもああいう形になることはある。高校までは左四つだったので、昔の感覚がある」と語り、土俵際まで寄られても前傾が崩れなかったことが良かったと振り返った。 土俵下で勝負を見届けた高田川審判長(元関脇安芸乃島)は、大栄翔があわてなかった点を評価。「大栄翔が頭を付けたりしていたら、大の里もいろいろできただろうけど、体を立てていた。体の厚みがあるので上手が遠くなって離すような形になってしまった」。取組の後、大栄翔自身が驚いた顔をしていたという。 引き揚げてきた支度部屋で、大の里は詰めの甘さを認めるしかなかった。 「もう一回、集中してやるだけ。また明日からが大事になる」 優勝争いから大きく後退したとはいえ、まだ5日ある。先頭の3人とは、いずれも対戦を残している。(宝田将志)