「老人性難聴」の特徴はご存じですか? 耳が聞こえにくくなる原因や治療法も医師が解説!
「聞こえにくさ=年齢のせい」と自己判断せず受診した方がいい理由とは?
編集部: 生活に支障が出るようになったら、どうしたらいいのでしょうか? 丹羽先生: 補聴器の装用を検討します。目安としては、両耳ともに40dBで聞こえにくさを生じていれば補聴器使用をおすすめしますが、必要に応じて、もっと早い段階で補聴器使用をおすすめする場合もあります。 編集部: それはなぜですか? 丹羽先生: そもそも、英語や中国語をはじめとする外国語と比べて、日本語は周波数が低いという特徴があります。そのため、高音が聞こえにくい加齢性難聴になっていても気づきにくく、気づいたときには重度になっていることが多いのです。自分で難聴を自覚する頃には、他人とのコミュニケーションが億劫になっていたり、「聞こえたふり」をせざるを得ないシーンも多くなったりするため、ストレスが増していきます。また、耳から脳への信号が弱まっている状態が続くと、言葉を理解する脳が退化し、頑張らないと会話できないため疲労感が強くなります。結果的に、社会的に孤立を深めてしまい、うつ病を発症する人もいるほどです。実際に、認知症との関係も大いにあるという研究結果もあります。 編集部: 「歳だから」と諦めず、早めに受診した方がいいのですね。 丹羽先生: そうですね。「老人性難聴は根本治療がない」と言っても、早めに対応するに越したことはありません。また、老人性難聴だと思っていても、稀に脳腫瘍や脳梗塞など、脳の疾患が原因で聞こえにくさを生じている場合もありますし、メニエール病など別の病気があることも考えられます。そうした病気の早期発見をするためにも、聞こえにくさを感じたら受診することが大事です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 丹羽先生: 家族などの周囲の人が「話がかみ合わない」「聞こえないのでは?」と感じたら、積極的に耳鼻科の受診を促すことが重要です。自分で本当に困ってからでは遅く、早めに対応していく必要があります。「補聴器相談医」や「補聴器適合判定医」の資格のある先生に相談するのが確実だと思います。資格についてはインターネットなどで調べることができるので、お近くの耳鼻科医を探してみてください。