マイナ保険証になると、どんないいことがあるの?【40代、50代・薬と上手に付き合う方法⑫】
「かかりつけ薬剤師」を味方につけるのもおすすめ!
「かかりつけ医だけでなく、『かかりつけ薬剤師』の制度があるって知っていますか? これはお気に入りの薬剤師を決める制度です。 つまり、医療情報や薬の情報を一人の薬剤師に集めて、薬や医療情報などの相談ごとも含めて管理してもらうのです。毎回違う薬剤師だと、何度も同じことを説明しなければならないことがあります。その手間が省け、薬の重複や余ってしまった薬のことも話しやすくなります。マイナ保険証のわからないことにも相談に乗ってくれると思います。 かかりつけ薬剤師になれるのは、実務経験3年以上で、週に32時間以上働いている(ほぼ常勤)こと、そして継続して勉強している人という条件があります。お気に入りの人でもパートで勤務時間が短いと指名はできません。 患者さん側の負担としては、制度に登録すると、毎回の支払い額が3割負担で70~80円増えます。それでも、薬を購入したあとに電話やメールなどでの事後フォローを受けられるなどメリットは多数あります。 薬剤師さんを選ぶポイントは、まずは話しやすい人であること。また人生経験の豊富な人ならより満足度が高くなるでしょう。例えば、小さな子どもの薬を買いに行くのなら、子どもを持つ人、親の薬なら介護経験のある人であれば、より気持ちをわかってもらえるかもしれません。 市販薬などは気軽に購入できます。それだけに、自己判断で間違った薬の使い方をしているケースも少なくありません。体は替えの利かないかけがえのないものです。不明点は気軽に質問するなどして、どんどん薬剤師の経験や知恵を利用してほしいと思います」
【教えてくれたのは】 鈴木素邦さん 薬剤師。経営学修士(MBA)。「クラヤコンサルティング」代表取締役。城西大学薬学部非常勤講師。東京大学や慶応義塾大学などの教壇に立ち、多くの薬剤師を世に送り出す。薬局薬剤師の経験、多くの薬剤師を輩出した経験をもとに、お客様第一の薬局になれるような薬局向け経営コンサルティングを行う。研修講師としても、薬局経営者向け中心に講座を実施している。著書に『薬の裏側』(総合法令出版)など。 イラスト/いいあい 取材・原文/山村浩子