5万円が入った財布を拾ったのに「お礼」がない! 遺失物のお礼は“義務”と聞いたけど、裁判したら謝礼をもらえる?
日本は世界各国に比べ、落とし物が拾われて戻ってくる可能性が高いといわれます。拾い主の多くは「落とし主が困っているだろう」という親切心からこのような行動をとっているのでしょう。 拾い主は、自分の行動に対し、落とし主から感謝の気持ちを形にしてもらえたら、たとえ些細なものでも心が温かくなるものではないでしょうか。実際、遺失物法で「落とし主は拾い主に相当額を支払う」と定められています。 しかし、落とし主が「お礼はしたくない」と拒否することもあります。このような場合、拾い主は裁判を行ってまで謝礼を請求すべきなのでしょうか。本記事では「落とし物のお礼」について解説します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
落とし物を拾ったら
まずは「拾い主(拾得者)」の義務から確認します。刑法では「遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する」とあり、さらに遺失物法では「拾得の日から一週間以内に提出をしなかった」場合は所得権を取得する権利を主張できないとなっています。 つまり、落とし物を拾い、いわゆる「ネコババ」をしたら罪に問われることになり、懲役刑または罰金刑に科せられます。また、落とし物を拾った場合、7日を過ぎるとたとえ警察署に届け出ても拾得者としての権利を失うことになってしまいます。施設内に管理者がいるときは24時間以内に管理者に届け出なければ同様に権利を失います。 これらの法律は「いかに早く落とし物を持ち主に返却するか」という、落とし主の利益を守るために定められています。法律の規定にかかわらず、落とし物を拾ったらできるだけ早く、警察署や施設の管理者に届け出るようにしましょう。
落とし物の謝礼の相場は5~20%
次に「落とし主(遺失者)」の義務を見ていきます。遺失物法では、落とし主は拾ってくれた人に対し、報労金として、落としたものの代金の5~20%に相当する額を支払わなければならないと定められています。拾って届け出てくれたことへのお礼の意味合いです。 この報労金は、拾い主が落とし主へ請求することができ、拾得場所が施設内であった場合は、拾い主と施設とで折半した額を落とし主へ請求できます。今回の5万円が入った財布であれば、2500円~1万円の報労金を受け取ることができます(施設で拾った場合は半額の1250円~5000円)。 また、落とし物が持ち主に返却されてから1ヶ月を超えると請求できなくなるので、報労金の受け取りを希望する場合は、その旨を落とし主に意思表示しましょう。