介護も人や情報が頼りになる 他人事じゃない「高齢の親を虐待」しないための方法――「困ったときに吐き出せる場所があるか」がカギ
■ケアマネ選びが難しい理由とは 実は、この選び方が「難しい」という声を、よく耳にします。 実際、母親の介護のためにケアマネを選ぶことになった50代の知人女性も、「分厚い電話帳みたいな冊子を窓口で渡されたけれど、こんなにたくさんある情報の中から、一体どうやって選んだらいいのか、さっぱりわからない」と途方に暮れたそうです。 職業柄、情報感度も高い知人ですが、事業者選びの材料になるような口コミサイトなどもないため、仕方なく1件1件、冊子にある事業所に電話をかけ、地道に調べるしか方法がなかったといいます。
事業者数は地域差があるものの、膨大なリストの中から何を基準に選んだらよいか、日ごろウェブサイトでいろいろなサービスや商品を買っている、ITリテラシーが高めの人でも悩んでしまうほど。 確かに、冊子に載っている情報は法人名や所在地、併設サービスなどの概要のみで、施設の特徴やアピールポイントが書かれているわけでもなく、「これを基にどう選んだらいいいのかわからない」のもよく理解できます。おまけに、ウェブサイトを持っていない事業所も多数あり、残念ながらウェブサイトで検索しても、比較検討しづらいのが現状です。
この場合、自宅からの距離や24時間体制かどうか、特定の疾患があればそれに対応しているかどうかなどが1つの基準にはなりますが、自力でリサーチするには限界があります。また相性の良し悪しは、実際に会ってやり取りしてみないとわかりません。 ■まずは会ってから考えてみる そのため、筆者がお勧めするのは、比較検討に多くの手間を割くより、ひとまず空きがある事業所にお願いし、実際にやり取りするなかで相性をはかってみることです。
ひとたびケアマネに依頼すると、ほかの介護職とのつながりも生まれますし、ケアマネの評判など知りたい情報も手に入ることもあります。業界の中のことは、業界の人がよく知っているものです。 そしてそのなかで、より自分たちに合った事業者や人を検討することもできます。 実際、ケアマネや事業所は「合わない」と思えば変えることができます。例えば「話を聞いてくれない、相談にのってくれない」「不要な介護サービスを押し付けてくる」「適切な提案をしてくれない」などに当てはまるようなら、変えることを検討してもよいかもしれません。