国会議員の海外視察 成果はどうチェックすればいい?
安倍晋三首相が8月2日までの日程で、メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ、ブラジルの中南米5か国を訪問。9月にはバングラデシュ、スリランカへの訪問が予定されています。国会閉会中の夏休みは、首相や閣僚をはじめ、多くの国会議員が海外へと視察に出かけます。昨年は7月に参院選が行われた影響で視察が8月に集中しましたが、今年は会期延長もなく閉幕したため、6月末から各委員会の視察が始まりました。 【図表】首相の国会出席は多すぎる? 国会議員の海外視察とはどういうもので、その成果はどうチェックすればいいのでしょうか。
議員団視察は公務の一環
衆参両院とも、国会議員が議員団を構成して視察するのは公務の一環です。そのため視察の報告書を各議長に提出する義務があります。衆議院の場合は委員会として議員団を構成しますが、参議院の場合は与野党の各会派で特定の政策テーマごとに議員団を構成して視察するのが慣例となっています。 これらの報告書は誰もが閲覧可能です。 「衆議院第二別館においでいただければ、誰もが見ることができます。コピーも無料です」(衆議院国際部) 「派遣報告書は参議院のホームページにアップしています」(参議院国際部国際交流課) 参議院のホームページを見ると、最新の報告書は昨年(8月25日~9月2日)の議院運営委員長班(フランス共和国、英国、オーストリア共和国)のものです。両院とも、公開度は十分とはいえませんが、議員団としての視察は報告義務があるわけです。では、議員個人による視察はどうでしょうか。 「議会への報告義務はありません。委員会の答弁の中での発言として報告されることはあるので、議事録に残ることはありますが、基本は視察の報告は各議員に直接うかがうということになりますね」(衆議院国際部) ちなみに2014年度の一般会計歳出予算の各目明細書によると、衆議院の議員旅費が2億780万8000円、参議院が1億4809万9000円となっています。そのうち海外視察分は衆議院で2億3417万7000円、参議院では1億1342万7000円(ODA執行調査旅費、議会間交流、国際会議派遣等旅費、重要事項調査等旅費)です。また、滞在中の文書通信費「議員文書通信交通滞在費」として1議員につき月100万円の手当てがつきます。 「100万円は返還の必要はありません。また、個人渡航による海外視察は議員の自費です」(参議院会計課)