川崎ブレイブサンダースの変革を象徴する3&Dプレーヤー、飯田遼29歳の気概「何歳でも成長するチャンスはあると思います」
「走るバスケが強みになってきつつある」
在籍2年目となる飯田だが、昨シーズンは48試合出場で平均9.3分のみと、自身初のB1で思うような結果を残せなかった。だが、武器である長距離砲とハードワークをギンズブルグヘッドコーチに評価されて群馬戦では先発起用となり、天皇杯の2試合ではともに20分以上の出場と主力の座をつかんでいる。 ここまで主力の一員として起用されていることに、「ありがたいですが、それがすべてではないです」と飯田はしっかりと足元を見つめている。 「スタートでもそうでなくても、同じようにプレーしたい意識はあります。シュートだったら思い切りよく、ディフェンスではアグレッシブに頭を使いながらプレーしたいです。ただ、最初から試合に出してもらっている以上はトーンセット、ディフェンスでの基準をしっかり作らないといけない。そういう部分での責任はあると思っています」 そして、まだまだ発展途上であるが、走り続ける新たなスタイルに大きな手応えを得ていると話す。「今までバスケをやってきた中でもあまりない感覚で、楽しい部分が大きいです。あれだけ走れば相手も嫌だと思います。どこからでもみんながシュートを狙うとなれば、スカウティングで対策しきれないですし、これまでの試合で相手が驚いている感じもしました。走るバスケが強みになってきつつあると思います」 飯田は185cmとウイングとしてのサイズはなく、それを補うような傑出した跳躍力などもないかもしれない。だが、運動量と長距離砲に優れ、川崎の新スタイルとの相性は抜群だ。 特別指定を経て2018-19シーズンからプロバスケ選手のキャリアを歩んでいる飯田だが、B1で主力の経験はなく、B2でも平均20分以上のプレータイムを得たのは香川ファイブアローズ時代の2022-23シーズンのみだ。しかし、今、自身の持ち味を存分に生かしてくれる指揮官の下、大きな飛躍のチャンスを迎えている。 「今、29歳ですけど、何歳でも成長するチャンスはあると思います。現状に満足することなく自分の課題、チームの課題と向き合って、毎日、しっかり積み重ねられるようにやっていきたいです」 飯田が3&Dとして大きなステップアップを果たすことができるかは、川崎の今シーズンの行方に大きな影響を与える要因となるかもしれない。
鈴木栄一