「2009年以降生まれは一生たばこ買えない」英国禁煙法、1つ目の関門通過
2009年1月1日以降に生まれた英国人を非喫煙世代にするための法案が英国議会で1つ目の関門を通過した。 ロイター通信によると、英国下院は26日に2回目の読会を開き、「たばこ・電子たばこ法案」を採決にかけ賛成415票反対47票で通過させた。読会とは下院で法案を審議する手続きで、1回目は法案内容を最初に公開し、2回目と3回目で採決を行う。3回目の採決まで通過すれば上院に渡し最終審査する。 この法案は2009年1月1日生まれ(現在15歳)とその後の出生者にたばこを販売してはならないという内容が盛り込まれた。現在は未成年者にだけたばこの販売が禁止されているが、この法案が通過すれば2009年以降の出生者は成人になってもたばこを買うことはできない。 禁煙禁止区域も増やす。英国は2007年に酒場と職場を含むほぼすべての密閉された公共スペースでの喫煙を禁止した。法案が通過すれば遊び場と学校、病院の室外空間まで禁煙禁止区域になる。英国政府は当初酒場やカフェの野外空間での喫煙禁止も法案に盛り込もうとしたが、サービス業界に及ぼす影響を考慮して撤回した。 風船ガムや綿菓子のように甘い味と香りを出す電子たばこも販売できなくなる。電子たばこ広告を制限し、電子たばこの自販機での販売は禁止される。たばこ、電子たばこ、ニコチン製品を販売できるライセンス制度を導入し、未成年者に製品を販売して摘発された小売り業者には200ポンド(約3万8365円)の罰金を科す。 これと同様の内容の法案が以前の保守党政権で推進され、4月に下院で最初の関門を通過していた。しかし総選挙の前倒しが電撃発表されて議会が解散し法案は成立しなかった。当時はむしろ与党だった保守党内部から反対票が出たが労働党は法案を支持した。労働党は7月の総選挙で政権を取ってからこの法案を再推進している。 この禁煙法は世界的にも強力な水準の法案と評価される。最近若い層で喫煙人口が急激に増え、がん発生件数も増加していたことがこの法案を推進する背景となった。 英国がん研究所が先月発表した研究によると、英国では毎年12万7000人以上の若者が定期的にたばこを吸い始めることがわかった。喫煙によるがん発生件数も2003年以降17%増加したと英国保健社会福祉省は伝えた。 ストリーティング英保健相は「電子たばこを吸う未成年者の数が驚くほどのスピードで増加しており、緊急な介入が必要だ。この法案が未成年者に中毒に閉じ込められた人生を避けられるようにするだろう」と話した。 英国政府の最高医療責任者を務めるクリス・ホイッティ教授は「この重要な法案が通過されれば禁煙世代を繰り上げて子どもたちがたばこ中毒に閉じ込められて一生健康を害することがなくなること。電子たばこを吸う子どもが増加するのは深刻な問題で、たばこ・電子たばこ法案は子どもを対象にした電子たばこマーケティングを防止するのに役立つだろう」と話した。 ただ一部では市民の自由を制限するという批判も出ている。保守党のロバート・ジェンリック議員はXに「もっと多く教育して少なく禁止しよう。子守国家に反対する」と投稿した。