マラソンの新常識…履くだけで「10分タイム」が縮む、厚底シューズの《スゴイ効果》と意外な弊害
厚底シューズでなぜ速くなる?
厚底シューズを履くと、なぜ速くなるのでしょうか? 厚底シューズで走っているエリートランナーたちは、軽快に飛び跳ねるように走っているイメージがあります。その背景にあるのは、接地時間の短さ。 通常、マラソンのような長距離ランナーの1歩あたりの接地時間は0.2~0.3秒ほど。速く走ろうとするほど、接地時間は短くなる傾向があり、短距離ランナーの接地時間はその半分ほどになります。 厚底シューズは接地時間にどのような影響を与えるのか。早稲田大学スポーツ科学学術院の鳥居俊教授の調査によると、薄底と比べて厚底シューズで走るときには接地時間が約3%短くなっていたそうです。 カーボンプレートだと自然と速く走れるからでしょう。接地時間が短くなるほどエネルギー消費量は減り、ランニングエコノミーの向上に寄与します。 ランニングエコノミーとは、ある速度で走ったときの体重1kgあたりのエネルギー消費量のこと。自動車で喩えるなら、燃費のようなものです。 燃費のよい自動車ほど、同じエネルギーで長く走れるように、ランニングエコノミーが高いランナーほど、マラソンのような長い距離を最初から最後までスピードを落とさずに走り切ることができます。 …つづく<いま、ランナーの「厚底シューズ化」でケガ激増…その問題は「履き方」にあった!マラソンを「安全に楽しむ方法」を専門家が解説>では、厚底シューズでランニングエコノミーが改善する最大の理由と、それによりケガを誘発の原因について解説します。
金 哲彦(プロランニングコーチ・解説者)