問われる運転手の健康管理 専門家も指摘“低血糖の危うさ” 札幌・小学生死亡事故の“警鐘”
誰もが当事者になる可能性
専門家は、糖尿病に限らず誰もが当事者になりうると指摘します。 (滋賀医科大学 法医学部一杉正仁 教授)「自動車の事故の1割が運転手の体調変化によるものと言われている、心臓病、脳血管疾患などが原因としてある。糖尿病に限らずどなたでも体調を良好に保つ、あるいは体調が悪いときはハンドルを握らないということはどの病気にも言えること。体調が悪いときは運転しないが大原則」
ちぎれたランドセル、傷ついた息子の顔…家族の記憶
事故があったあの日から家族の時間は止まったままです。 (西田倖さんの父親)「切れてしまっているんですね。ランドセルも結構傷ついているので本人の体を守ってくれていたのかなと思うんですけど、顔も傷ついていたし、衝撃はひどかったんだなと改めて思いました」
「人を幸せにする子になってほしい」と「倖」と名付けたという両親。 裁判で父親は、最大の刑罰を与えてほしいと訴えました。
迎えた2024年8月2日の判決。 札幌地裁は、「低血糖で意識障害を引き起こす危険を軽視した過失は重大で、事故を起こすことは十分に想起された。身勝手な犯行である」として禁錮2年6か月の実刑判決を言い渡しました。
(西田倖さんの父親)「(判決は)結局通過点でしかないので、これで私たちが終わったとは感 じていません。交通ルールを守った子どもが、 身勝手な行動で判断を誤った大人の責任で命を落としてしまった事件なので、そういった事件に対して、罪の重さはこれでいいのかというのは、自分が当事者になって痛感している部分なんですね。今後似たような事件が起こったときに、遺族の気持ちを考えるとこの結果でいいのかというところは慎重に考えていきたいなと思います」
運転時に体調管理ができていなかったことに関して、強く責任を問う判決が下されました。 同じような事故が二度と起きないためにも運転する人全員が、 ハンドルを握る責任の重さを、改めて考えなくてはいけません。