ノーベル平和賞受賞、日本被団協「今年受賞で世論を大きく」 原爆投下80年を前に
ロシアや北朝鮮などの核の脅威が高まる中、日本被団協のノーベル平和賞受賞は私たちに何を問いかけているのでしょうか。受賞した日本被団協代表委員・田中煕巳さん(92)、事務局次長・和田征子さん(81)に話をうかがいました。 【画像】アイスランド人映画監督が描く 被爆者への思い
■日本被団協 平和への思い
ノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで行われました。日本被団協の受賞理由について、ノルウェー・ノーベル委員会は「核兵器のない世界の実現を目指して尽力し、核兵器が2度と使われてはならないことを目撃証言を通じて身をもって示してきた」ことを評価したとしています。 授賞式での演説のほんの一部ですが、田中さんは「核兵器は1発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願い」「人類が核兵器で自滅することのないように、核兵器も戦争もない世界の人間社会を目指してともに頑張りましょう」と訴えました。 こうした中、ウクライナや中東では戦火が止まず核兵器の脅威が高まっている現実があります。 ストックホルム国際平和研究所によると、今年1月時点の推計で世界の核弾頭数は1万2121発。また、すぐ撃てる状況になっているものは推定3904発とされています。最多はロシアで5580発、次いでアメリカが5044発。さらにイスラエル、北朝鮮なども保有しているとされています。 ロシアのプーチン大統領は先月、核兵器の使用条件を大幅に引き下げた「核ドクトリン」を承認しています。これによって、ウクライナの支援国も核抑止の対象=核攻撃の対象になるということです。
■核兵器に対し、日本は?
アメリカの「核の傘」の下にある日本ですが拡大抑止の強化へ向けた動きが進んでいます。 拡大抑止とは、アメリカの核兵器を含む戦力による抑止力を同盟国の防衛にも適用することです。2010年から日米の事務レベルで協議を実施していて、今年7月には初の閣僚会合も開催されました。 ノーベル平和賞授賞式のあった10日の衆院予算委で、石破茂総理は「拡大抑止を否定する考え方を私は持っていない」と主張しています。そして2021年に発効した、核兵器の開発・保有などを全面的に禁止する「核兵器禁止条約(TPNW)」については、日本は“核保有国が参加していない”ことを主な理由に参加していません。これに関しても10日に石破総理は「核兵器禁止条約に正式に参加することはきわめて困難」と述べています。