ガザ北部の「最後の主要な病院」、イスラエル軍攻撃で機能停止に
パレスチナ自治区ガザ地区北部のカマル・アドワン病院で27日、イスラエル軍による軍事作戦があり、患者を含む数百人が避難を余儀なくされているとロイター通信などが報じた。世界保健機関(WHO)は「ガザ北部の最後の主要な医療施設が機能停止になった」との声明をX(ツイッター)に投稿し、イスラエル軍を非難している。 ロイターなどによると、病院はガザ北部で稼働を続けていた三つの主要な医療施設の一つで、病院内には患者やスタッフら約350人がいたとみられる。ガザ保健当局は、イスラエル軍の攻撃で施設の一部が焼失したとし、病院長や複数のスタッフがイスラエル軍に拘束されたとしている。 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、イスラエル軍は最近、ガザ北部でカマル・アドワン病院やインドネシア病院、アル・アウダ病院に対する攻撃を強化。ガザ保健当局は24日、「イスラエル軍が三つの病院を閉鎖しようとしている」と述べ、国際社会の介入を求めていた。 カマル・アドワン病院の医療スタッフは英BBC放送の取材に「昏睡(こんすい)状態の患者がおり、人工呼吸器が必要であるため、移動させるのは危険だ」と指摘。重体患者の一部はインドネシア病院に搬送されたが、発電機や水道などの設備がなく機能していないという。 一方、イスラエル軍は27日、カマル・アドワン病院の周辺で「テロ活動に関する情報を受けて、作戦が開始された」との声明を発表した。【松本紫帆】