プレミアリーグ首位に貢献 遠藤航のライバル、フラーフェンベルフは「新しいリバプールの象徴」
【新しいリバプールの象徴】 ボールから目を切る能力は、それが日常的に必要とされている環境がないとまず身につかない。つまり、6番を経由させてボールを運ぶプレースタイルのチームにいなければならないが、アヤックスはまさにそういうチームだった。 フラーフェンベルフの6番定着によって、リバプールは新監督の戦術を軌道に乗せることができた。 相手FWの背後でパスを受け、長いパスでFWを走らせる。また、自身が大きなストライドのドリブルで一気にボールを運ぶ推進力は、フラーフェンベルフ独特の長所だ。 ただ、このポジションの役割は攻撃だけではない。 インサイドハーフとしてのフラーフェンベルフは、守備でのアジリティや強度に難があった。プレミアリーグのスピードと激しさのなかでは、やや緩慢な印象だったのだが、6番として相手を迎撃する守備ならば、そのリーチと読みのよさを発揮して無難に守れている。 クロップ前監督の時代、リバプールの6番はプレッシングのうまさ、強さが必須で、いわゆるゲーゲン・プレッシングの軸になれるかどうかが問われていた。昨季、補強のターゲットだったモイセス・カイセド(現チェルシー)はまさにそのタイプで、カイセドの代わりに獲得した遠藤航もそうだ。 スロット新監督下のリバプールは、それよりもボール保持局面で能力の高い6番を必要としている。前監督時代の縦への速さ、対人の強さを引き継ぎながら、保持力を高めようとするにあたって、フラーフェンベルフは替えの効かない存在であり、チームの進化のためのキーマンと言える。 連載一覧>>
西部謙司●文 text by Nishibe Kenji