ゴスペラーズ・安岡 優さんがソロ作でこだわった「バラード」と「作詩」
昨年デビュー20周年を迎えた5人組ボーカルグループ「ゴスペラーズ」。ポップスやR&Bを融合させたコーラスワークのパイオニアとして、『永遠に』『ひとり』『ミモザ』『ラヴ・ノーツ』など数々のラブ・バラードの名曲を生み出してきました。 そのメンバーの一人、安岡 優(ゆたか)さんが1stソロアルバム『バラードが聴こえる』をリリース。これまでに楽曲提供などのソロワークはあったものの、アルバム制作・ライブなどの本格的ソロワークは今回が初めてです。
クレジットは作詞ではなく「作詩」
安岡さんは早稲田大学在学中にゴスペラーズの一員として1994年にデビューしましたが、その時にすでに“運命の糸”がつながっていたようです。 「大学に入学すると、いろいろなサークルが勧誘のブースを出していて、その中でピンと来たのが黒沢さん(黒沢薫:ゴスペラーズのメンバー)が歌っているところだったんです。大学に入る前からボーカリスト志向はあったので、黒沢さんに話しかけてみたところ、『何か歌えるの?』っていうので『はい』と答えたら、酒井さん(酒井雄二:ゴスペラーズのメンバー)がバックコーラスをやってくれて……。そこから20年以上も経ってしまいました(笑)」(安岡さん) その安岡さん、ボーカリストとしても大活躍していますが、作詩も担当しています。ん、作詩? そう、安岡さんがクレジットされるときは「作詞」ではなく「作詩」とクレジットされています。 「僕は英文学科だったんですが、英詩の授業があるんですよ。でも、それは単純に詩を読むだけではなく、抑揚をつけて詩人が物語を伝えるように読む勉強をしてきました。日本の和歌(五七五七七)も節があるように、英詩にも節があるんです。その影響で、僕の書いた詩はメロディがあって物語になるという意味も込めて『作詩』というクレジットにしてもらっています」(安岡さん)
詩人が物語を伝える「バラード」
21年目を迎えたゴスペラーズのメンバーには、10月、1月という2か月間、自由な時間が与えられました。その中で安岡さんが挑戦したのは、アルバム制作と東名阪ライブ。そして完成したのが『バラードが聴こえる』(10月21日リリース)です。 「“バラード”というと『ゆったりとしたラブソング』というイメージが強いかと思いますが、いろいろ調べていくと“バラード”は『詩人が物語を伝える』というスタイルを指す言葉で、テンポや内容を問わないものなんです。なので、僕の作る物語を歌に乗せて伝えるという意味での“バラード”が聴こえてくる、という意味でこのタイトルにしました」(安岡さん)