【毎日書評】「きょうが人生最後の日だったら」と自問してみると、本当に大切なものに気づける
やらずに後悔して、この世を去ることがいちばんつらい
死を目前にしたとき、すなわち非日常の世界に足を踏み入れたとき、本当にしたいこと、やらなければならないことが見えてくることがあるそうです。 とはいっても、それらをすべて実現するのはなかなか難しいことでもあります。そもそも人間は、欲の塊。そのため、すべての欲を完璧に叶えることなどはできるはずもないのです。 しかし「今日が人生最後の日だったら」と想像し、もし「やっておかなければ、絶対に後悔する」ということがあれば、健康なうちに手をつけておいてもよいかもしれません。 それがおそらく、自分を受け入れ、幸せに生きるためにも、心残りなく、穏やかな気持ちで死を迎えるためにも、必要なことだと思われるからです。(30~31ページより) 一方、人は健康なとき、抱えているものを手放すこと、人に委ねることはなかなかできないものでもあります。ところが人生の終わりが近づくと、「自分の力でできないことは、手放そう」「他人にゆだねよう」と思うようになるものだそうです。 つまり人はそこでようやく、自分を縛りつけていたこだわりから解放され、本当の幸せに気づくことができるのでしょう。患者さんたちとの交流を通じてそのことを実感しているからこそ、著者は次のように訴えるのです。 「自分でちゃんとやらなければ」という思いにとらわれ、苦しんでいる人は、ぜひ一度「今日が人生最後の日だったら」と想像し、手放したり他人にゆだねたりできることがないか、考えてみてください。(31ページより) 仕事の場においては、ついいろいろなことを抱え込んでしまい、自分を苦しめてしまいがちです。そんなときこそ、著者のこの提案に従ってみるべきかもしれません。(26ページより) 「どんな自分であれば幸せか」と考えたとき、お金や地位、権力、強さといった“一人称の幸せ”には必ず限界があるものだと著者は指摘しています。だからこそ本書を参考にしながら、“自分にとって本当に大切なもの”を探し出してみるべきではないでしょうか。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: アスコム
印南敦史