オリックス・フロントトップの「智弁学園より弱い」発言への賛否
広岡氏の意見は正論である。 「智弁学園より弱い」というチームを、そもそも誰が編成したのか? という話である。 2014年に「勝った方が優勝」という最終決戦にまでソフトバンクを追い詰めたオリックスは、そのオフに空前絶後の大補強を断行した。アスレチックス傘下にいた元西武の中島裕之を、阪神とのマネーゲームの末に獲得。日本ハムからFAで小谷野栄一、横浜DeNAからトニー・ブランコ、広島からブライアン・バリントンらを次々に総額30億円をかけて獲得して、FA宣言をしたエースの金子千尋も巨額の複数年契約で引き留めた。だが、期待の戦力は次々に怪我で離脱、チームはスタートから躓き、6月には森脇監督が途中休養した。 昨年オフには、外国人を総とっかえ。160キロの剛速球が前評判のエリック・コーディエは、開幕早々に失格、ブレント・モレルは幻の2本塁打などで話題になったが、打率.232、5本塁打、21打点の成績で2軍落ち、ブライアン・ボグセビックも、打率.204、1本塁打と結果を出せず、この5月には元中日のマット・クラークを緊急獲得している。今のところフロントが選んできた今季の新戦力も大失敗である。 プロ野球の覇気とは結果である。勝てばどのチームも元気よく見える。チームが負けていても、元気がいいな、負けても覇気があるな、という話は聞いたことがない。勝てる戦力、首脳陣を整えることのできなかったフロントが、「智弁学園より弱い」と発言することは、天に唾を吐く行為だろう。 「自前の選手を育てなければチームは長期的に強くならないし、ファンの支持も受けない。自前の選手を育てることできず、村田や西武から出戻りの脇谷が、いまだにスタメンにいるような巨人も同じようなものだが、オリックスも、覇気がない云々よりも、自前の選手を育てることに目を向けたほうがいい。皮肉にも元オリックスの選手が他球団で活躍している。ヤクルトの坂口智隆、大引も、日ハムとのトレードがあったが元オリックスの選手。楽天の後藤も先日、殊勲打を打った。せっかく自前で育ててきた選手が今はオリックスにいないチーム作りの計画性には疑問を感じる」と、広岡氏。 選手にしてみれば、瀬戸山球団本部長の発言に発奮するどころか、しらけてしまうものもいるだろう。口は災いの元なのである。オリックスは、フロントも含めた抜本的なチーム改革に乗り出せねばならない時期にきているのかもしれない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)