ギュンター・シュタイナー元代表、逆にハースから訴えられる! 自伝で同社の商標権を侵害か?
昨年までハースF1のチーム代表を務めていたギュンター・シュタイナーに対し、ハースF1チームの親会社であるハース・オートメーションが、商標権を侵害した可能性があるとして提訴したことが明らかになった。 【ランキング】シュタイナーが去った後、ハースF1は躍進? F1コンストラクターズランキング 今年の1月、ハースF1はそれまでチーム代表を務めていたシュタイナーの解任を発表し、後任にはそれまでエンジニアリングディレクターを務めていた小松礼雄が就任した。 事実上更迭された格好となったシュタイナーは5月はじめ、ハースF1を手数料や肖像権使用料が未払いであるとして、ノースカロライナ州の裁判所に訴えを起こした。しかしその数日後、逆にハース側が、カリフォルニア州の裁判所に対して、シュタイナーを相手に訴訟を起こしていたことが明らかになった。 ハースは提出された書類の中で、シュタイナーと彼の自伝『Surviving to Drive』の出版元であるテン・スピード・プレスが、商標規則に違反していると思われる画像を出版するという違法行為を行なったと主張している。 ハースの主張は、以下の通りだ。 「2023年、シュタイナーはハース・オートメーションの許可または同意なしに『Surviving to Drive』という題名の出版物(以下”告発製品”)を執筆、マーケティング、宣伝、販売、配布し、利益を得た。告発製品は、シュタイナーの個人的な金銭的利益と不法な利益を目的として、ハース・オートメーションの商標およびハース・オートメーションのイメージを違法に使用および表示し、今も引き続き使用および表示されている」 「ハース・オートメーションは、シュタイナーによる告発製品におけるハース・オートメーションの商標またはハース・オートメーションのイメージの使用に、同意したことはなかった」 このことについてハース・オートメーション側は、シュタイナーに対して懸念を伝えたが、満足いく回答を得ることができなかったため、法的措置を取ったとしている。 「ハース・オートメーションは、シュタイナーに対して訴訟前に通知を行なったが、現在に至るまでシュタイナーは侵害行為を止めたり緩和する措置を講じていなかったので、即時に訴訟を行なうことが必要となった」 訴状にはそう記されている。 「シュタイナーは、ハース・オートメーションが独占的に所有する知的財産権を侵害し、印刷物やデジタルを含む様々な媒体で告発製品を販売および宣伝している」 「オンラインで入手可能な情報によると、2024年1月の段階で、告発製品は少なくとも15万冊を超える売り上げを記録し、少なくとも450万ドル(約7億円)の収益を上げている」 ハースはこの件について損害賠償を求め、裁判所に対しては陪審員による裁判を起こすよう求めている。 ハースの訴えが認められ、裁判に発展した場合は、シュタイナーとテン・スピード・プレス社による画像の使用が、フェアユース(公正利用)に相当するかどうかが焦点となろう。このフェユースとは、個人および出版元が、解説や批評、ニュース報道、教育、研究などの目的で、著作権や商標権を、権利保有者の許可なく使うことができるというもので、このフェアユースをめぐってはこれまでにも度々裁判が行なわれてきた。
Jonathan Noble