“ロシア勝利”なら米負担「天文学的」 米戦争研究所が分析…ウクライナ全土の占領「不可能ではない」
アメリカの政策研究機関「戦争研究所」は14日、西側諸国がウクライナへの軍事支援を打ち切りロシアが勝利した場合、アメリカが直面する軍事的・経済的負担は「天文学的だ」とする分析を公表しました。 戦争研究所は14日に公表した「ウクライナを失うことの高い代償」とする分析のなかで、アメリカやヨーロッパがウクライナへの軍事支援を打ち切れば、ロシアがウクライナ全土を占領することは「決して不可能ではない」と指摘しました。その場合、ロシア軍は豊富な戦闘経験を備えた、侵攻開始以前よりも大規模な軍隊になるとしています。 また、占領したウクライナと国境を接するルーマニアやハンガリーなども含め、黒海からバルト海に至るNATO=北大西洋条約機構の加盟国に対して脅威を与えることができるということです。アメリカはこれに対応するために大規模な兵力や、保有するステルス戦闘機のかなりの部分をヨーロッパに配置する必要があると想定され、そのコストは「天文学的になる」としています。 また、ステルス戦闘機の多くをヨーロッパに配置すると、台湾有事が起こった際のアメリカ軍の対応能力を著しく低下させる可能性があるということです。 こうしたコストに比べれば、ウクライナへの軍事支援を継続し、戦線を維持させるだけでも「はるかに安上がりだ」とし、ウクライナが勝利すれば、「ヨーロッパ大陸で最大かつ最も戦闘力の高い友軍をNATO防衛の最前線に持つことになる」としています。アメリカなどで支援継続の先行きが不透明になるなか、戦争研究所は分析を通してウクライナが敗北した場合の軍事的・経済的コストについても真剣な議論を促したかたちです。