【急死を防ぐ】多忙で手術を先送り→数週間後に破裂して死亡。「大動脈瘤」の怖さを医師が解説
前回の記事では「大動脈解離」の危険性についてお伝えしたが、実は大動脈解離を発症すると、さらに恐ろしい病気「動脈瘤」になる可能性が高いらしい……。 ▶︎すべての写真を見る
後半では、大動脈解離を発症した後の生活について、川崎幸病院 川崎大動脈センター長の大島晋先生に解説いただいた。
発症後は、定期的なCT検査が必要!
――もし大動脈解離を発症した場合、その後のケアはどうすれば? 大動脈解離を発症した場合、退院後、定期的にCT検査などの経過観察を行います。経過が良好でも、年に1度の定期検査は必要になります。 ――日常生活で注意することはありますか? 大動脈解離の進行もなく経過も良好で、血圧がコントロールできていれば、基本的に生活を制限する必要はありません。 激しい運動はNGというイメージがあるのか、30、40代の患者さんから運動や性行為ができなくなりますか? などと質問されますが、そういったことができなくなるという科学的根拠はありません。 1分間の心拍数が120回を超える激しい運動でなければ、ゴルフやウォーキング、軽いジョギング、スイミングなど運動は、楽しんでいただけます。 ただ、大動脈解離を発症していると血管が脆くなっているので、「大動脈瘤」を発症する可能性が高くなります。
大動脈がこぶのようにふくらんだ状態のことです。このこぶができた場所によって胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤と呼ばれています。大動脈は血液量が多い血管なので、大動脈瘤が破裂すると体内で大出血を起こし、突然死する可能性があります。
大動脈瘤が怖いのは、無症状でいつ破裂するかわからない病気だということ。レントゲンでは見つからないので、他の病気でCT検査した時に偶然発見されるということも少なくありません。 大動脈瘤は大動脈解離になった人だけでなく、血管の老化である動脈硬化が大きな原因と考えられていて、年齢を重ねれば誰もが発症する可能性はあります。