ハリケーン「ヘリーン」の保険損失額、64億ドルに-米社が試算
(ブルームバーグ): 米国に被害をもたらしたハリケーン「ヘリーン」の保険業界への損失額は約64億ドル(約9400億円)に上る見込みだと、災害のリスク評価を行う米カレン・クラーク&カンパニー(KCC)が初期段階の試算を示した。
2日の発表資料によれば、今回の試算による保険業界の損失は9州にわたる暴風、高潮、内陸部での洪水による被害がカバーされているという。
ヘリーンは先週、風速140マイル(約225キロメートル)に達するカテゴリー4のハリケーンとしてフロリダ州のビッグベンド地区に上陸。北はオハイオ州の内陸部まで大きな被害をもたらしたほか、壊滅的な洪水を引き起こし、100人余りが死亡、数百万世帯が停電に見舞われた。
KCCによると、典型的なカテゴリー4のハリケーンとは異なり、ヘリーンは上陸地点から遠く離れた地域で最も大きな被害をもたらし、暴風による被害はフロリダ州よりもジョージア州が大きく、内陸部の洪水による被害はノースカロライナ州で最も甚大だった。
KCCの試算には、民間で保険に加入している自動車や住宅、商業用・工業用不動産への損害や事業中断の影響も含まれる。
米南東部の保険大手、ステート・ファーム・ジェネラル・インシュアランスとシチズンズ・プロパティー・インシュアランスは、合計で6万件を超える保険金請求を受けており、保険業界の損失が過去最大規模に達する恐れがあると予測している。
保険業界の損失額は経済全体への影響額よりもはるかに小さい。洪水被害は通常、標準的な不動産保険の対象外であり、追加保険または全米洪水保険制度(NFIP)のみでカバーされるためだ。ジョージア州やサウスカロライナ州の不動産所有者は、定期的に暴風雨に見舞われるフロリダ州の住民よりも洪水保険の加入率が低い事情もある。
米気象予報会社アキュウェザーの早期予測では、賃金損失や運航便キャンセル、サプライチェーン混乱を含めた経済的損失総額は1600億ドルに達するとみられ、被害額で米史上五大ハリケーンの一つになる可能性がある。