発砲して3人殺傷 19歳元陸自候補生の蛮行で疑われる「自衛隊の組織的銃刀法違反」
射撃を行うべき環境になるまで、小銃と銃弾を一緒にしないことは、「基本射撃訓練」に対しても徹底されていたが、昨年6月に渡辺被告が岐阜市の日野基本射撃場で起こした発砲事件は、「組織的な加重所持(5年以上の有期懲役)」という銃刀法違反が疑われるという。 必要であれば平時でも自衛官の加重所持を認める、その銃刀法の適用除外のためには主権者たる国民の理解を得なければならない。それが行われずに危険な銃携行が認められるようになったのはなぜなのだろうか。照井氏が続ける。 「’21年に開催された東京五輪パラリンピックです。テロ対策として襲われたときに素早く対応するための手段として、1人の隊員が銃と銃弾を一緒に持つことが許されたそうです。大会が終わったら、従前に戻すか、国民の同意を得て規則改正などを行うべきでしたが、これを機に管理はますます緩くなってしまった。 もし従前に戻されていれば、’22年の19歳陸自隊員の自殺も、昨年の岐阜の件も起きなかったと思うんです。銃と銃弾の管理の細部はそれぞれに異なりますが、服務の宣誓で『日本国憲法及び法令を遵守し』と宣言している自衛官は平時には銃刀法を厳守するからこそ、有事はその適用除外が認められるとして、殺傷力の強い銃を隊員個人が持たされているのですから、今の状態が続けば、一般庶民が大量に殺されてしまう可能性も否定できません」 ちなみに、6月に殺傷事件を起こした渡辺容疑者の裁判がじきにはじまるが、関係者の話によると、当時の射撃場責任者の責任を問うような処罰は今のところ行われていないという。渡辺容疑者が裁かれたとしても、一般庶民に銃口が向けられてしまう可能性は低くはならず、根本的な解決にはならない。人事異動の有無は別として、自衛隊全体で「銃と銃弾の取り扱いのルール」を早急に見直さない限り、再び悲劇は起きてしまう。
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