発砲して3人殺傷 19歳元陸自候補生の蛮行で疑われる「自衛隊の組織的銃刀法違反」
昨年6月、岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で男性隊員が銃で撃たれ、3人が殺傷した事件で岐阜地検は2月28日、自衛官候補生だった渡辺直社(なおと)容疑者を強盗殺人と同未遂の罪で起訴したことを発表した。 【画像】「寝ると痒くてたまらない…」いくらなんでも不潔すぎる 陸上自衛隊の訓練宿舎「衝撃写真」 渡辺容疑者は射撃訓練中だった昨年6月、弾薬を強奪するために自動小銃を発砲。菊松安親陸曹長(当時52)と八代航佑2曹(同25)を死亡させ、原悠介3曹(26)に重傷を負わせた、とされる。この件について、元陸上自衛隊の幹部隊員の照井資規氏はこう明かす。 「3人の犠牲者が出てしまったことは本当に痛ましいことです。’22年4月に東立川駐屯地で19歳陸自隊員が小銃自殺を図ったことも報道され、ショックを受けましたが、当時、何が原因で自殺が起きてしまったかをしっかり検証できていれば岐阜の発砲事件は起きていなかったのではないかと思うので、残念でなりません。 私が自衛隊に在籍していたときは銃と銃弾の扱いについて、幾重にも安全管理が徹底されていましたが、今は遵法精神が組織的に緩くなっている。私の在籍当時は、銃と銃弾を一緒に持つことは銃刀法に違反すると禁じられていましたから」 ’95年から10年間、自衛隊に在籍した照井氏は「駐屯地によって多少の違いはある」とした上で、当時守られてきたルールについてこう明かす。 「駐屯地警衛隊勤務の隊員が携行している小銃に実弾は入っていませんでした。弾薬庫での警衛勤務でも、『実弾入りの弾倉を携行して警備に当たるが、銃と弾薬を一緒にして1人の隊員が携行することは『加重所持(3年以上の有期懲役)』になるので避けなければいけない』というルールでした。 警衛所を離れて徒歩巡察(見回りのこと)する際は二人一組が徹底され、任期制隊員の陸士が担う場合は、もう1人は必ず陸曹が指揮者に就きました。陸曹が実弾を込めた弾倉を持ち、陸士が小銃を携行します。二人は同時に襲われないよう5~20m離れて行動するのですが、発砲する際は陸曹が陸士に弾倉を渡し、陸曹の命令により射撃することが決まっていました。殺傷力の高い銃が外に向けられると一般人の“殺人”、逆に自身の内側に向かえば“自殺”のおそれがある。平時の自衛官が国民と同じく銃刀法を遵守していたのは、危害を予防するためでした」 たしかに照井氏が明かした銃刀法、いわゆる「銃砲刀剣類所持等取締法」には以下のように記されている。第5章「罰則」の第三十一条の三には、銃の所持規定を破った人が<当該拳銃等に適合する実包又は当該拳銃等に適合する金属性弾丸及び火薬と共に携帯し、運搬し、又は保管したものは、三年以上の有期懲役に処する>と明記されている。