『ホークアイ』『ラプソード』専門機器を駆使して選手をサポート。カープ・一岡竜司アナリストが歩む第二の野球人生
カープ球団を支える様々な人たちは、どんな仕事をしているのか? 本連載では、さまざまな立場・場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側の役割を探っていく。 【写真】若鯉を導くレジェンド捕手・道原裕幸寮長 今回登場するのは、現役時代は中継ぎとして3連覇に大きく貢献した一岡竜司さん。昨年限りで現役引退後は、カープ球団でアナリストとして第二の野球人生を歩む。アナリストとして奮闘中の一岡さんに、現在の仕事について聞いた。(全2回・第1回) ◆選手時代の感覚を大事にしながら、数字で選手をサポート 球団には現役として10年間お世話になっていたので、新たにアナリストとして業務させていただくにあたり、チームの雰囲気には慣れていたのは良かった点でした。所属部署は情報処理部で、スコアラーと分かれています。アナリストはプロ野球選手経験者は僕と飯田(哲矢・元カープ投手)くん、そして社員3人の5人います。いろいろな情報はスコアラーと共有しながら業務しています。 この仕事は練習や試合で見えてくる選手たちの数字を収集して分析します。その数字を元に時にコーチも交えながら選手にわかりやすく説明し、良いときの数値に戻していきます。投手であれば、なぜ打たれたか? を悪いと分からずに修正するよりも、〝こういう数値が悪いから結果が残っていない〟と理解したほうが、指導する側も選手も判断材料が増えますからね。このように選手のいろいろな動きを数値化し、パフォーマンスアップをサポートする仕事だと言えます。現役選手を経験していますが、感覚を優先する中で配球だったり、変化球の変化量だったり、困ったときに頭の隅に数字を持っているのと、そうでないとでは違っていたので、少しでも数値で選手のサポートになればと思っています。 アナリストとして欠かせない器具がいくつかあります。試合中は『ホークアイ』です。これは球場にカメラが設置されていて、打球速度、打球角度、打球方向の割合、投手が投げた投球の変化量などが分かる器具です。練習中は『ラプソード』を使用していて、投手であればマウンドプレートとホームベースの間にラプソードを置き、カメラで縫い目を判断して回転数・変化量を測ります。逆に打者であれば、打撃専用のラプソードを使用して数値を収集します。また『ブラスト』というバットのグリップエンドにつける器具でスイングスピード、バットの角度を測ります。また『アイピッチ』という投手のリリースの高さとスピード、回転数、回転方向を入力したら、その投手の軌道を再現できるマシンもあります。僕らは普段、これらの器具を駆使しながら、打者・投手のいろいろな数値を収集・分析しています。 普段の動きは、ホームの広島であれば球場に出社して、前試合のデータをまとめて選手にフィードバックする資料を作成しています。そして選手の練習をサポートしながら、動画撮影をしたり、器具を使用して数値を収集しています。試合前には選手、コーチと数値を元に話をしたりします。試合がはじまると、分析ルームで映像を見ながら数字をまとめています。一軍が遠征中は二軍の練習の手伝いをしたりしています。 僕が昨年まで現役でしたが、アナリストの飯田くんを見ていて、単純に忙しそうなイメージを持っていました(笑)。いろんな数字を提示してくれていましたし、面白そうな仕事だと思って見ていました。アナリストとして業務をして半年過ぎましたが、自分が現役時代の数字を改めて見てみると、面白いなと感じることもありますね。 (後編へ続く)
広島アスリートマガジン編集部