【ハイライト動画あり】見えてきたチームの輪郭。市立船橋高校・中村健太コーチが味わっている『指揮を執る』ということ 高円宮杯プレミアリーグEAST 流通経済大柏高校×市立船橋高校マッチレビュー
「大前提として向こうはプレミアリーグで1位を走っているチームで、失うものはないようなメンタル状況だったと思いますし、僕たちはもう絶対1つも負けられないという状況だったので、インターハイよりはプレミアリーグの方が僕らは不利なのかなと思っていました。だから、流経さんが思い切ってやってくるのに対して、いかに圧倒されずに、ちゃんと踏ん張って、粘り強くやれるかというところを考えましたね」
中村コーチの見立て通り、流通経済大柏は立ち上がりから攻勢を強めたものの、市立船橋は圧倒されず、踏ん張って、粘り強く戦い続ける。後半に入って先制を許したが、「前半で決められなくても慌てないということを自分の中で意識していました」という伊丹が、インターハイ予選決勝に続く“2週連発”のゴールを奪い、逞しく追い付いてみせる。
「やっぱり負けていく中でやり続けることの難しさはあったと思うんですけど、わかりやすい結果が付いてきたことで、チームとして信じてやること、自分たちが1つになってやれば大丈夫なんだという安心感は少し出てきていますし、『チャンスを作れるかもしれない』『点数を獲れるかもしれない』という期待も少し出てきているので、気持ちの余裕のところが一番大きいですかね」(中村コーチ)
今の市立船橋の空気感を象徴するような一コマもあった。メンバー外の大勢の選手が送るホームチームへの大声援に対して、アウェイチームはわずかに2人の選手が声を張り上げる。松本琉維と片桐大貴。ケガもあってプレミアの登録を外れた彼らは、飲み物や用具の準備も含めたサポート業務をこなしながら、スタンドからピッチの仲間たちを鼓舞し続けた。こういう選手たちの存在が、チームの輪を大きく、強固なものにしていくことに疑いの余地はない。
試合は勝てなかったけれど、負けなかった。キャプテンの岡部タリクカナイ颯斗もチームの成長を実感している。「あれだけ苦しいプレミアがあって、インハイも簡単な試合はなかったですけど、1試合ごとにみんな成長していたのかなとは思うので、やっぱりインハイの経験は凄く大きかったですね」。選手たちも、中村コーチも、一歩ずつ、一歩ずつ、確実に前へと進んでいる。
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