【エプソムC回顧】レーベンスティールが底力勝負を制す 祖父トウカイテイオーが敗れた秋の大一番が好機
新味を見せたニシノスーベニア
当然、ハイレベルなラップ構成であれば敗れた馬も見直しが必要だ。2着ニシノスーベニアは東京より中山向きで、高速上がりに不安があったことから、この2着は大きい。スローで崩れる可能性もあるが、持続力を問う流れで好位から抜け出せるのであれば選択肢は広がっていく。東京芝1600mはよりそういった形になりやすく、挑戦する価値はありそうだ。 3着シルトホルンは途中でセルバーグに譲る形となったが、元来ハナを切りたい馬でもなく、そこは苦にしなかった。なにより、このラップを早め先頭から押しきりにかかった。1、2着馬には屈したものの、それ以外は完封できておりまだまだ伸びしろがある。目標になりやすい面はあるが、今回のように強気に出ていって、自ら活路を見出していってほしい。スクリーンヒーロー産駒らしく、東京の持続力勝負は合う。成長曲線としては父との共通点もありそうで、秋に向けて期待したい一頭だ。 2番人気サイルーンは4着。中団からきっちり脚を使えたが、今回はオープン馬たちの脚力が一枚上だった印象もある。とはいえ、クラス慣れさえすれば、通用するメドは立った。東京のスローでどれほど末脚を使えるかはポイントになりそうだが、こちらも中山適性があるので選択肢の幅がある。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳