ゼニスの良心!? 顧客向けロードショーのために来日したキーパーソンに聞いた「歴代6名のCEOと仕事をすることの難しさ」と新世代機、創業160周年に向けて
Ref. 95.9601.3620/51.I301 149万6000円 スペック:自動巻き(エル・プリメロ 3620 SC)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。チタンケース(シースルーバック)。直径42.5mm。60気圧防水。チタンブレスレット、ブルーラバーストラップ、リサイクルファブリック製エクストラロングストラップの3本が付属 –WATCHES AND WONDERSの前、今年1月に開かれたLVMH WATCH WEEKではパイロットシリーズからブルー文字盤を出しましたね。あれは昨年にリニューアルしたシリーズですが、発表当時に「プッシュボタンの押し心地にこだわった」という説明を受けました。非常にニッチな着眼点だと思うのですが、どのような経緯があったのでしょうか? 「まず、パイロットの商標をゼニスが持っており、文字盤にPILOTと記すことができる唯一のブランドであることはご存知だと思います。まだパイロットが懐中時計に革紐を付け、二の腕や大腿部に巻き付けていた時代から、ゼニスは航空計器を開発してきたのです。新世代機では、そうした歴史の本質である“ツールウオッチ”としての航空時計に回帰しようと考えました。グローブをしたままでもフライバッククロノグラフが着実かつ迅速に起動するよう従来の900gから500gの力で押せるように改良し、ビッグデイトの切り替えも0.007秒で瞬時に切り替わるようになっています。誌面や画面越しには伝わりにくいことなので開発には社内でも賛否両論ありましたが、パイロットシリーズの存在意義をより明確にするためにも不可欠な進化だったのです」
Ref.03.4000.3652/51.I003 155万1000円 スペック:自動巻き(エル・プリメロ 3652)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)。直径42.5mm。10気圧防水。ラバーストラップとカーフストラップの2本が付属。ブティック限定 –1月にはクロノマスター スポーツのバリエーションも追加されています。こちらは2021年に登場し、長らく供給が追いつかないほどの大ヒットを記録したというモデルの新作ですが、人気になった要因についてロマンさんはどう分析しますか? 「発表年である2021年はパンデミックという特殊な事情の影響で高級時計全体の生産本数が減り、流通量が制限される中で各社の人気モデルの価値が高まっていました。とくにロレックスのデイトナのような知名度のあるクロノグラフは市場で枯渇状態。そうした需要過多にあったところへ、クロノマスター スポーツの登場がうまくはまったのだと思います。とはいえ予想をはるかに超える反響で本当に驚きました。注文が最も多い時期には、月に7000本のオーダーが入ったことも。エル・プリメロ誕生から50年間の粋を集約した渾身のモデルですが、何もイレギュラーなことをしたわけではありません。クロノマスター スポーツは『デ・ルッカ』や『レインボー』などのアーカイブピースにインスピレーションを得ていますが、そのようにして新型をデザインする手法は以前から行っていますからね」