「30センチ必要なのに厚さわずか3センチ」2年かけたのに工事やり直し…トンネル施工不良 住民ら置いてきぼり?県は職員らを「厳重注意」
問題公表半年後にようやく会見で謝罪 現場所長「厚さ不足と認識も数値偽装し検査通した」
県が問題公表して約半年後の今年1月にようやく施工会社の「浅川組」が会見を行い謝罪しました。 浅川組などによりますと、今回のトンネル工事を担当した現場所長はこれまでに17件ものトンネル工事を担当し、社内でも経験豊富で「トンネル工事」と言えばこの人と称される“敏腕社員だった”ということです。 会見では委員会が作成した提言書も公表されました。その中で所長はヒアリングに対して、「覆工コンクリートの厚さが確保できないことを認識しながら、本社に相談することなく工事を進め、数値を偽装して検査を通した」と回答したということです。
住民説明会では厳しい指摘も
和歌山県はトンネル付近の住民らを集めて1月下旬に2日間にわたり住民説明会を行いました。 約2時間弱にわたり、トンネルが所在する那智勝浦町と串本町の住民ら計約40人に対して、これまでの問題発覚の経緯から今後予定されている工事の内容などに関して説明が行われました。 住民からは「完成を早くしてくれ」「なぜそのようなことになったのか」など厳しい指摘をする声も上がったということです。
和歌山県は部長ら職員を「厳重注意」に
2月20日、和歌山県は管轄の県土整備部長ら同部ら計6人について、組織として適切な指導体制となっていなかったことなどから、厳重注意としたと発表しました。県は今後の再発防止に向けて、工事の途中段階での確認を県の監督員が確実に行われるよう、全工事着手前に施工業者との打ち合わせで担当課長が決裁をするほか、完成時の検査の際、段階確認が確実に行われたかの検査を行うということです。
『コンクリ全てはがす』工事はまた2年かけてやり直しへ
補修工事は「ほぼ全面的にやり直す必要がある」と検討委で判断されました。浅川組は補修工事を去年12月から開始、トンネルは去年12月から供用開始の予定でしたが、2年遅れる見込みだということです。 県によりますと、浅川組は和歌山県内で2005年~2019年にかけて11のトンネル工事に単独もしくはJVの形で関わっていたということですが、県は今回以外のトンネルについても施工不良がなかったかを全面的に調査を行う方針です。 本来であれば去年12月には供用開始の予定だった「八郎山トンネル」、いつ起きるか分からない災害に備えて、トンネルの開通を待っていた住民らが置き去りにならないよう、丁寧な説明と一日も早い工事完了が求められるのではないでしょうか。