「RS」譲りのトルクスプリッター獲得 アウディS3が小改良 試作車へ試乗 2.0L 4発ターボで333馬力
最高出力333ps 最大トルク42.7kg-m
アウディは、この4代目S4へ施された改良が、通常のアップデート以上の内容だと主張する。A3全体に、広範囲なアップデートが加えられる。ビビッドなカモフラージュの内側へ与えられた進化ぶりを、ひと足先に味見させていただいた。 【写真】「RS」譲りのトルクスプリッター獲得 アウディS3 同クラスの四輪駆動ホットハッチ (127枚) そもそも現行のS4は、プレミアムなホットハッチとして、高水準に仕上がっていた。ただし、乗り心地とインテリアが、期待通りとはいえなかったことも事実だ。 また格上のRS3が存在し、フォルクスワーゲン・ゴルフ Rもモデルチェンジされ、S3はフォルクスワーゲン・グループの中で若干影が薄かったことも否定はできない。アウディの技術者は、訴求力を高めるべく、しっかり手を加えたようだ。 試乗したS3はプロトタイプで、偽装が施されており、スタイリングやインテリアを正確にお伝えすることはできない。特に車内は、メーター用モニターとシフトセレクター以外、しっかり布で覆われていた。 パワートレインは、従来どおり同グループ内で広く共有される、EA888型と呼ばれる2.0L 4気筒ガソリンターボ。最高出力は25ps増しの333psへ上昇、最大トルクは2.0kg-m増しの42.7kg-mへ引き上げられた。発生回転域は、2100-5500rpmだ。 ターボチャージャーは、低い回転域からブースト圧が生成されるようチューニング。中間加速でのパワー供給を、ダイレクトにしている。
RS3譲りのトルクスプリッター 0-100km/h 4.7秒
トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック。変速時間は半分へ短縮され、クラッチを高圧力で接続することで、加速時のトルク伝達量が強化された。「D」での軽めの加速でも、エンジンの回転数が高めに制御されるようにもなった。 パワートレインで特に注目すべき変化が、RS3譲りのトルクスプリッター・システムを獲得したこと。リア・ドライブシャフトへ2基のクラッチが装備され、必要に応じて左右それぞれのタイヤへ送られるトルクを、自在に調整可能としている。 ドライブモードには、ダイナミックプラスが追加。アイドリング時の回転数が1100rpmから1300rpmへ上昇し、変速が一層クイックになり、アクセルレスポンスが鋭くなる。また可能な限りリアへトルクが割り振られ、後輪駆動へ近い操縦性も味わえるという。 サスペンションでは、フロントのマクファーソンストラットに、新しいピボットベアリングを採用。ネガティブキャンバーを僅かに強め、ウイッシュボーンの剛性を高め、ステアリングの反応を引き締めている。 アダプティブダンパーも改められ、ブレーキはフロントのディスクが357mmに。可変ステアリングレシオにも、微調整が加えられた。19インチホイールには、235/35のファルケン・タイヤが組まれる。 これらによる効果で、0-100km/h加速を0.1秒短縮し、4.7秒でこなす。もっとも、ダッシュ力以上に、全般的な動的能力が引き上げられたと考えていいだろう。