2019センバツ明石商 筋力高め、躍進支える ボランティアでトレーニング指導、元高校教諭・篠田健治さん /兵庫
今春のセンバツに出場する明石商には、ボランティアでウエートトレーニングを教える元高校教諭がいる。明石市に住む篠田健治さん(67)は2014年秋から野球部の指導を始め、チームの躍進を支えた。スタッフも部員も「野球に適した筋力がつく」と信頼を寄せ、甲子園で勝ち進むことで恩返しをしたいと意気込んでいる。【黒詰拓也】 14年秋、篠田さんに明石商の狭間善徳監督(54)から連絡があった。「甲子園に行きたい。協力していただけませんか」。直前の県大会1回戦で報徳学園に負けたばかり。狭間監督のことは昔からよく知っていた。 1988年のこと。篠田さんが明石南高で保健体育の教諭をしていた時、野球部のコーチとしてやってきたのが狭間監督だった。大学を出たばかりで、野球に全てを懸ける若者に好印象を持った。狭間監督が高知の明徳義塾中・高に移った後も、明石商に着任してからも気に掛けていた。 狭間監督から話があった14年秋は、その年の春に高校教諭を退職し、どこかの高校でコーチができないかと思っていた時だった。依頼を快諾し、明石商に週3回通うようになった。 篠田さんは明石南高などで計34年間、ウエートリフティング部の監督を務め、同校を全国優勝に導いた実績がある。しかし野球部の指導経験はなく、明石商では部員の動きをじっくり見て、スタッフから話を聞き、野球の動作に適した筋肉の鍛え方を考えた。 重視したのは、下半身の力をうまく上半身に伝えるため、柔軟性と瞬発力を同時に高めること。主に腰と肩の筋肉を意識し、ゴムチューブや重さ30キロのバーベルを使ったメニューを編み出した。短時間で効率良く鍛えられる利点があり、県外の強豪校も見学に来るようになった。 中森俊介投手(1年)は「体の軸がぶれなくなった」と効果を感じ、狭間監督は「正しい姿勢で反復できるよう、根気強く教えてくれる。けが人が少なくなった」と感謝する。 篠田さんも「部員と目標を共に取り組むのが楽しい。野球部から元気をもらっている」とやりがいを感じている。 〔神戸版〕