熱帯性ナマコを国内初確認 沖縄・マングローブ林で
島根大や和歌山県立自然博物館などのチームは沖縄県石垣島の河口付近に生えるマングローブ林で、熱帯域原産のナマコを発見した。国内初確認という。「海の森林」とも呼ばれるマングローブ林には貝類や甲殻類が生息するが、ナマコの報告例はなく「マングローブ林が生物多様性の維持に貢献していると裏付ける重要な発見」としている。 見つかったナマコはフィリピンやフィジーが原産地。体長17.6センチの成体で表面は黒く、黄色いいぼ状の足が無数にある。石垣島は亜熱帯域に属し、従来の分布北限より約700キロも北だった。黒潮に乗っての北上や、温暖化による海面水温上昇が影響した可能性が考えられるという。 島根大の川井田俊助教(海洋生態学)らは2022年6月、カニ類の採集目的でマングローブ林を調査。根と根の隙間に挟まっているナマコ1匹を見つけた。 日本近海には約200種類のナマコが生息するが、岩場や砂の中で活動していることが多い。川井田助教は、ナマコを見分ける上で重要な体内の小さな組織を精査するなどし、種類を明らかにした。