「言葉が先行する選手にはなりたくない」引退する岡崎慎司が誇示したベテランの矜持【コラム】
「プレーで引っ張れない悔しさをめちゃくちゃ感じた」
ラストマッチ、最大限の準備をして、最大限のプレーをした。岡崎らしい走り込みやキープ、ゴール前への飛び込みもあった。献身的な守備は当たり前。立ち位置の調整で相手DFが中盤選手にパスを出せないようにしていくポジショニングには熟練の妙を感じさせる。 51分間のプレーで、少しは最後に満足のいくプレーができたのだろうか? そんなことを尋ねてみた。 「本当に最低限のプレーしかできなかったなと思う。こうしとけばよかったなとかっていうプレーもいっぱいあるし、こう動けばよかったなとか、その連続でずっとやってきたんで。今日も試合に入っちゃえばそれの連続で。 ただ、最後の最後にこうやって日本の選手が周りにいて、わかり合える選手たちの中でやれたんで嬉しかったですね。プレスのタイミングとかもそうだし、一緒にやれてる感はあった。自分が1トップに入って、そういう選手たちを引っ張って自分が点を量産してっていうのが理想だったなと思います」 そして、こうも話していた。 「今回、シント=トロイデンで若い選手たちと一緒にやりながら、こういう選手たちをプレーで引っ張れない悔しさをめちゃくちゃ感じつつ、自分の引退を決意させる一つの要因ではあった。逆にやっぱこういう選手たちにはもっと上に行ってほしいなっていう思いがある。そういう選手たちと一緒にこうやって最後迎えたっていうのは何か運命なのかなっていうふうに思いますし、本当にそれも含めていい終わり方だった」 いろんな思いを胸に、岡崎は最後のピッチを後にした。 取材・文●中野吉之伴
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