奈良の春日大社に響く読経 興福寺僧侶が「社参式」
奈良市春日野町の春日大社で2日、伝統行事の「日供始式(にっくはじめしき)」と興福寺の僧侶による「社参式(しゃさんしき)」が執り行われた。 [写真]本殿の中門下で読経する森谷英俊貫首ら興福寺の僧侶=2日、奈良市春日野町の春日大社
同社の神職7人が新年で初めて本殿の神前に神饌(しんせん)を供え、花山院弘匡宮司が国家国民の安寧を祈り祝詞を奏上。続いて本殿の中門(ちゅうもん)の下で同寺の森谷英俊貫首ら僧侶7人が唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)を読経した。 春日大社と興福寺は、平安時代に権勢を誇った藤原氏の氏神、氏寺として古来より密接な関係を続け、かつては日常的に同寺の僧侶が参拝し読経していた。 明治維新初期に出された「神仏分離令」とそれに伴う「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」運動の影響で同寺の神前読経も取りやめとなったが、1950(昭和25)年に再開。近年は1月2日に社参式を行っている。