蜜月の関係が生んだスーパーカー「メルセデス・ベンツ SLR マクラーレン」
当時のダイムラー社はマクラーレン グループの株式を40%取得していたので、マクラーレンを完全吸収してメルセデス・ベンツ単独でF1参加するのではと噂されたが、2009年11月16日にブラウンGPの株式をアブダビ政府系の投資会社アーバーインベストメントと共に75.1%をダイムラー社が取得し2010年のF1からメルセデスGPで参戦するとした。同時に、2011年までにマクラーレン・グループ株を全てマクラーレン・グループに売却し、エンジン供給は2015年まで延長すると発表。しかし、マクラーレンは1年早い2014年をもって20年に亘るメルセデス・ベンツとの協力関係を終了した。
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン
メルセデス・ベンツSLRマクラーレンは、メルセデス・ベンツが1955年のレースシーンを席巻した300SLRに由来している。メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのアイコンであるスイングウイングドアやF1のノーズコーンを連想させるフロント周り等のディテールが特徴だ。イギリスのマクラーレン専門工場であるマクラーレン・テクノロジーセンターで全てハンドメイドにより生産された。その施設はロンドンから南西40km、サリー州ウォーキングの景観保存地区に位置する。マクラーレン・グループの7社が同じ敷地に集結し、2万㎡で全3階(地下1階、地上2階)、高さ10mの建物はアンスラサイトグレーと白を基調にした超モダンだ。1.000人あまりのスタッフがハイテク・オフィス、研究所、ワークショップで働いている。これこそ、メルセデス・ベンツSLRとチームマクラーレン・メルセデスF1レースカーの聖地だ。
メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのバリエーションは多彩で6種類となっている。マクラーレンのF1技術をそのまま転用した軽量高剛性のカーボンファイバー製モノコックボディを採用し、エンジンはAMGがこの車のためだけに開発した最高出力626PSを発揮するV型8気筒 5.4L スーパーチャジャー付だ。エンジン始動はセレクターレバー頭部のボタンで行う。メルセデス・ベンツ専用の電子制御5速ATを介して後輪駆動し、最高速は334km/hに達する(クーペモデル)。