老後資金は「2000万円」必要と言いますが、実際60代で2000万円以上貯めてる人ってどれくらいいるのでしょうか?
いわゆる「老後2000万円問題」とは、令和元年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書をきっかけに、老後の生活費不足が広く注目されるようになったインパクトのある問題です。 本記事では、60代の貯蓄事情や老後資金を貯める方法について解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
そもそも「老後2000万円問題」とは
先に述べた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書では、高齢化が進む日本において、年金だけでは老後の生活費を賄えず、30年間で約2000万円の資金不足が生じる可能性があると指摘しています。この状況を俗に「老後2000万円問題」と言い、さまざまな社会的な議論が起こり、多くの人が老後の資金計画に不安を抱くようになったのです。 この試算では、以下の条件を想定しています。 ●夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯 ●夫婦とも健康で、夫が95歳、妻が90歳まで30年間生活する ●毎月の生活費が年金収入を約5万5000円上回る赤字となる 上記条件のもとでは、年間約66万円の赤字が積み重なり、30年間で約2000万円が不足する計算になります。ただし、これが全ての家庭にそのまま当てはまるわけではありません。例えば、生活費や受給する年金額、住居形態、医療費の支出状況などによって必要な資金は大きく変わることはご留意ください。
60代の貯蓄事情
ここでは、金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」を基に60代の貯蓄事情を表1にまとめました。 表1
出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」を基に筆者作成 60代で2000万円以上の貯蓄がある世帯は、二人以上世帯で38.0%、単身世帯で34.8%いることが分かりました。一方で、貯蓄が500万円未満の世帯も二人以上世帯で約25%、単身世帯では約34%存在しており、貯蓄状況には大きな差があるといえるでしょう。 60代の平均貯蓄額は二人以上世帯が2588万円、単身世帯で2240万円と高額に見えますが、これは、一部の富裕層が全体の数字を押し上げているためと考えられます。これに対して中央値は二人以上世帯が1200万円、単身世帯が1100万円であり、多くの世帯がこの水準であることを示しています。