選挙妨害か表現の自由か…元検事は『単なる妨害と犯罪に達するかは別』との見方『国家権力はできるだけ政治・選挙に介入しないのが原則』だが『摘発をやろうと思えばできる』
衆議院の補欠選挙では、候補者の街頭演説に対して、他の候補者を立てた政治団体による選挙妨害ともとれる行為が繰り返され、他陣営から抗議が続く事態となりました。政治団体側は「言論の自由」と主張、民衆のヤジではなく、候補者側による『演説』については、国会でも議論される事態となっています。 【画像を見る】大音量の選挙演説をした政治団体代表の主張と演説の真意は?その人物像を見る 警視庁は今回、『公職選挙法違反の自由妨害の疑い』で警告を出しましたが、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は「国家権力はできるだけ政治活動や選挙活動に介入しないのが原則」と解説しました。
単なる妨害か「犯罪に該当する」か
――公職選挙法では、交通や集会を妨げ、演説を妨害した り、ポスターに落書きしたり破る行為などを、自由な選挙を妨害する行為として禁じ、違反した場合は4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金としています。 (元大阪地検検事 亀井正貴弁護士)今回が妨害かと言ったら妨害だと思うんですが、ただこれは犯罪なのか、公職選挙法の中の妨害という犯罪に該当するかという観点からすると、単なる妨害では駄目です。 妨害だからと言ってすぐ排除したら、表現の自由とか、政治活動の自由はかなり規制されます。国家権力はできるだけ政治活動や選挙活動には介入しないというのが原則で、捜査機関もそういうふうに思っています。
「音と時間」が犯罪成否の判断材料か
(元大阪地検検事 亀井正貴弁護士)そういう観点からしたら、選挙の演説を妨害するというのが、いわゆる犯罪の要件ですけれども、その場合は単純な妨害ではなくて演説ができなくなる。もしくは、聴衆が演説を聞こえなくなる、つまり「音」ですね。 それから「時間」を考えて、演説そのものができなくなる、聴衆が聞こえなくなる、それぐらいまでに達するかどうかということですから、犯罪の成否を判断するのは非常に微妙で難しいところがあります。 ――東京15区補選の選挙戦では、ほかの候補者は演説を取りやめたりすることも起きています。それはどう捉えたらいいでしょう。