【更年期、漫画家・槇村さとるさんの場合/インタビュー前編】不調が押し寄せる「更年期の本編」は、閉経後にやってきた
十二指腸潰瘍に橋本病。メンタルまでダウン
その後、槇村さんが「更年期の本編」と表現する時期がやってきた。55歳だった。 「謎でしたよね。胆のうも取ったのに胃腸がおかしくなって、消化機能が明らかに落ちている感じだった。検査してみたら十二指腸潰瘍とわかったんです。 漫画の締め切りは相変わらずやってくるので、とにかく仕事を優先して、早めに早めに進めていました。それでも3、4時間頑張ってデスクに向かっていると、もうお腹が痛くなってしまうんですよ、十二指腸潰瘍で」 食べても消化できない、食べられないという状態が続いて、なんと体重が10kg近く減ってしまったのだそう。 「体力の衰えもひどくて…。後でわかることですが、橋本病だったんです。橋本病は甲状腺機能が低下して元気がなくなる病気。いろいろな不調は当たり前だったんですね。今思えば、女性ホルモンも甲状腺ホルモンも出ていない状態だったので、体が機能していなかったんだとわかります。 さらには異常な冷えや原因不明のひどい貧血も。あまりにもいろんなことが起きて、そうか、これが更年期の本編か、と気づいたんです」 体の不調は3年ほどで落ち着いたが、今度はメンタルがやられてしまう。58歳の頃だった。 なかなか起きられない、仕事への意欲や集中力がない、夫に当たってしまうなど、つらくてやりきれない。それでも連載は待ってくれない。いつ仕事に穴をあけるかと考えただけで不安になり、ほとんどうつ状態だったとか。 「その頃、雑誌を読んでいたら更年期の記事で“女性ホルモンゼロ”という言葉を見かけて。これは私だ、とピンときました。はうようにクリニックへ行き血液検査をしてもらったら、みごとに『女性ホルモンはほぼゼロです』と。もう笑っちゃいましたね。 それと同時に、ひどい鉄欠乏や橋本病も見つかりました。うつ状態になるには十分すぎる原因が体にあったわけです」 そこから、槇村さんの巻き返しが始まる! 社交ダンス、バレエと週6日踊るほど元気になった過程は、インタビュー後編で。