「国を守る」と言えない「リベラル野党」に日本は任せられない…いま「政権交代」のために左派が引き受けるべき「覚悟」
6月上旬に時事通信が実施した世論調査で、岸田政権の支持率が最低の16.4%まで低下。国民の中には「再びの政権交代」を期待する声も出始めている。 【一覧】「次の総選挙」で落選する裏ガネ議員の全実名はこちら…! 第一線の政治学者やジャーナリストは、その可能性をどう見ているのか。田原総一朗、御厨貴、牧原出、久江雅彦、井上達夫の各氏が「週刊現代」の連続インタビューに応じた。 田原総一朗さんのインタビューはこちら:【田原総一朗が立憲民主党に喝「本気で政権を獲る気があるんですか!?」批判ばかりで満足する野党の「怠惰と無責任」】 御厨貴さんのインタビューはこちら:【政治学者・御厨貴が語る未来の日本「私がこの国を引っ張る」という者が消え、無気力が蔓延し…そして混乱の時代が始まる】 ---------- 牧原出(政治学者)/1967年生まれ。東北大学大学院法学研究科教授などを経て東大先端科学技術研究センター教授。『きしむ政治と科学』他 ----------
「安倍政権に学ぶ」強かさを
裏金問題で政界の風向きが変わり、今は野党にまたとないチャンスが訪れています。しかし国民の間には「政権交代するとしても、民主党政権の二の舞はやめてくれ」という意識が根強くある。 野党は「我々のほうが自民党よりも日本の未来を考えている」と自信を持って言えるように準備しないと、かりに選挙で勝ったとて、以前のようにすぐ潰れてしまうでしょう。そのためには「自民党がマネできない政策」を軸にしながらも「自民党のいい政策」を取り込む必要があります。 たとえば、いわゆる「LGBT法案」や「選択的夫婦別姓」の法整備を進めることは、自民党は支持層の都合で難しいですが、後者は国民の過半数が賛成しているという統計もあります。 こうした自民党が手を出せない分野の政策を打ち出すのに加え、経済政策と安全保障では自民党、特に安倍政権の政策を継承すれば、より支持を広げられる。
「安保法制反対」のままでは国を守れない
安倍総理が仕上げた「税と社会保障の一体改革」を打ち出したのは民主党の野田佳彦総理でした。安倍政権はある意味、民主党政権の課題を引き受けて成功したわけですから、野党も同じことをやればいいのです。 安全保障に関しても、最近は野党もだいぶ寛容になってきましたが、まだ物足りません。野党独自の経済安全保障政策を打ち出すくらいでないと与党を担うのは難しい。 たとえば、もし立憲民主党が現状のように「安保法制反対」という姿勢のままで政権を取れば、中国やロシアは必ず領空・領海侵犯を増やして様子を見るでしょう。 そのときは自民党も「やっぱり左派に国防は任せられない」と批判するでしょうし、実際、国民の多くもそう考えています。