元日本代表・高原直泰がJ3移籍を決めた理由
2014年シーズンの到来を告げる東京ヴェルディの「第一弾試合告知ポスター」には、キャプテンのMF田村直也を中心として、総勢7人の主力選手が『V』の文字を描くように配置されている。ヴェルディ(Verdy)と勝利(Victory)の頭文字を表しているものだが、田村のすぐ左側で、左胸に右手を当てているFW高原直泰だが、今は、このチームにはいない。 開幕直後の3月21日に、J3のSC相模原に電撃移籍した。5試合を終えたJ2戦線で、21位をさまようチームから、昨シーズンのチーム得点王は去った。かつて、日本代表のエース・ストライカーとして不動の地位を築いていた34歳の高原は、なぜ、J3でのプレーを選択したのか。 ■高原「こうなるとは思っていなかった」 実は、このポスター撮りが行われたのは、新体制が始動した1月15日の直後。その時点では、ポスターの人選をした営業を含めたスタッフの大半が、高原がヴェルディに欠かせない戦力だと信じて疑わなかった。新天地に移って間もない高原自身も、「こうなるとは思っていなかった」と偽らざる胸中を打ち明ける。 「ヴェルディのために準備をして、体を作ってきて、フタを開けてみたら自分が思っていたのとは違ったということ。試合に出られないから移籍した。それがすべてじゃないですか」 OBである三浦泰年監督が就任し、J1昇格を目指した昨シーズンは、クラブ史上ワーストとなる13位に甘んじた。再出発を期す今シーズン。チーム編成には大ナタがふるわれた。チームを支えてきた32歳のMF飯尾一慶(現横浜FC)や33歳のMF西紀寛(現ポリス・ユナイテッド=タイ)、33歳のFW巻誠一郎(現ロアッソ熊本)らのベテラン勢との契約延長を行わず、ブレークを果たした22歳のDF刀根亮輔は名古屋グランパスへ完全移籍した。ユース出身のホープで、リオ五輪の主軸を担うと期待される19歳のMF中島翔哉は、FC東京へ完全移籍した直後にカターレ富山へ期限付き移籍する形でチームを去った。