カメラの先にはALSの女性 地域新聞の編集長が映像で伝える闘病家族の思い、原点はがんになった父との別れ #令和の親 #令和の子
動画の後半には、吉村さんがかつて父にしたように、書いた手紙を互いに読み合うシーンも。みみりんさんは面と向かって言いづらかった素直な気持ちを伝えた。「仕事も家事も育児も私の介護も全部ありがとう」。夫も続く。「これからもっと自由が利かなくなる可能性が高いけど、ご飯を食べに行ったり、映画を見たりして一緒に過ごそう」。ともに大粒の涙をこぼしながら抱き合った。
▽天国の父
みみりんさんの動画を6月23日に公開すると、約1カ月で再生数は30万回を突破した。吉村さんは絆を強める時間を闘病家族に提供したいという当初の狙いだけでなく、病気のことを広く知ってもらいたいという当事者の願いにも応えられていると実感する。 ブログや交流サイト(SNS)での発信は手軽に誰でもできるようになったが、動画作成はまだまだハードルが高いと思う。当事者に代わって数十分の映像を編集、公開することで、病気への関心を高められることにやりがいと手応えを感じている。第2弾は悪性の脳腫瘍と認知症を抱える男性とその家族を取り上げた。 父は地域のために新聞を書き続けた。吉村さんはその意思を引き継ぎ、1000号まで積み重ねた。これからは新聞と同時に、社会のために映像制作も可能な限り続けていきたいと思っている。ふと、父は天国で喜んでくれているだろうか、と考えることがある。「不器用な父は直接褒めてはくれないだろう。でも天国でできた友達にきっと自慢してくれているかな」 ※この記事は、共同通信とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。