15周年を迎えた倉木麻衣「デビュー曲を超えたい」
1999年、当時17歳の高校生だった倉木麻衣は、『Love, Day After Tomorrow』で鮮烈なデビューを果たす。ベールに包まれた存在がさらに話題を呼び、街中で倉木の歌声が聞かれる中、当の本人は「実感すら沸かなかった。ライブもしていなかったので、反響がわからなかった」と、当時を振り返る。その大ヒットを皮切りに、最新作『無敵なハート/STAND BY YOU』までオリコン初登場でのトップ10入りは、40作連続という偉業を継続している。それでも、鮮烈すぎるデビュー曲が本人にとって、原点でもあり絶頂期。それをいかに超えるかが、大きなモチベーションとなっている。 ■デビュー曲が140万枚のセールスを記録 「自分自身に対して、強かったとき、自信に満ち溢れていた頃は、デビューの時。原点でもあるし、今振り返っても初心に帰れる。そこを超えるか、ということも含め、大事にしていきたい」。デビューから15年を振り返って倉木は、約140万枚のセールスを記録したデビュー曲を自らの絶頂期と考え、そこを1つの目標と捉えている。 高校時代にデビューし、その後、京都の大学へ進学。学生生活と音楽活動の二足のわらじで、いわゆる学生らしい生活は送れなかったが、「アルバイトと学生の二足のわらじを履いている仲間もたくさんいて、刺激されたりもしましたね。私自身は、余裕もなくていっぱいいっぱいでしたけど」と、目の前のことを実直に1つ1つこなしてきた。 デビュー当時は露出を控えていたが、3年目からはライブ活動を開始。「ライブをするようになると欲が出てきて、『自分を確立したい』と思うようになりました。それまでR&Bが主体だったけど、音楽性も多様化していって、大学を卒業して音楽に没頭できるようになると、『まだまだ自分の知らない自分を出せるのでは』と、思えるようになりました」と、それまでの枠にとらわれず、活動の領域を広げていく。 ■15周年記念ベストアルバムをリリース そして、初々しかった“10代の倉木麻衣”も40枚のシングル、12枚のアルバムを経て、30代となり、円熟味を増している。11月12日には15周年記念ベストアルバム『Mai Kuraki BEST 151A -LOVE & HOPE-』をリリース。「この年齢になって、これまでやってきたこと、いろんな出会いが形になってきている。抽象的だけど、音楽って希望と愛がたくさんこもったものだと実感しています」。CDのセールスは、時代とともに指標ではなくなり、音楽を計る“ものさし”が変化する中で、デビュー時の“絶頂期”とは違う、新たな魅力、強みを発見しつつある。