巨人「目玉補強なし、本塁打84本減で優勝のナゼ」昨季と成績比較で浮かぶ3大要因「菅野智之の復活、リリーフ陣整備」そして阿部慎之助監督の…
パ・リーグのソフトバンクと異なり、巨人の優勝を予想した人は少数派だっただろう。ともに新監督が就任して1年目という共通点はあるが、今季の巨人の優勝の要因を数字的に拾っていこう。 【貴重写真】大谷17歳、超細いのに甲子園で衝撃の特大HR、ヤンチャそうな制服・学ラン姿の坂本や張本、実は投手だった王さん…名選手140人超の高校時代を見る
昨年と比べると“5勝多いだけ”、目玉補強もなかった
【チーム成績】 ・リーグ順位 2023年 143試71勝70敗2分 率.504/4位 2024年 142試76勝59敗7分 率.563/1位 前年よりわずか5勝多いだけ。ただ昨年より引き分けが5つ多かった。阿部慎之助新監督のもと、粘りのあるチームに変貌し、激しい競り合いを制したのだ。 ・得失点 ※カッコ内はリーグ内の順位 2023年 523得点(3位)507失点(4位) 2024年 458得点(4位)379失点(1位) 昨年1位だった得点は4位と落ち込んだが、失点が128点も減ってリーグ最少になった。打線はやや低下したが、投手力が大幅に伸びたのだ。 実は昨年のソフトバンクと巨人は、驚くほど数字が似ていた。 〈2023年の勝敗〉 巨人 143試71勝70敗2分 率.504/4位 ソフトバンク 143試71勝69敗3分 率.507/3位 〈2023年の得失点〉 巨人 523得点(3位)507失点(4位) ソフトバンク 536得点(1位)507失点(4位) ともに打線は一流だが投手陣に問題があり、リーグ中位に沈んでいた。今季、ともにリーグ優勝したが、ソフトバンクは山川穂高の獲得とモイネロの先発転向で大勝したのに対して、巨人は目立った新戦力はなく、投手陣の整備と野手のポジションの明確化で優勝したと言える。
投手:菅野復活+リリーフ陣の整備が成績でクッキリ
それはいったいどういうことか。それを解き明かすために投打の成績を見ていこう(※2024年はすべて10月1日終了時点)。まずは投手から。 【投手成績】 2023年71勝70敗31S(6)/120H(5)1276.1回1075振401球 率3.39(5) 2024年76勝59敗40S(3)/139H(1)1280.0回1049振350球 率2.49(1) 防御率が大幅に上昇、セーブ、ホールドも増加し、先発、救援ともに整備が進んだ。 〈2023年〉※PRはリーグ防御率に基づく総合指標 ・先発 戸郷翔征24登12勝5敗0S/0H 170回 責45率2.38 PR15.30 山﨑伊織23登10勝5敗0S/0H 149回 責45率2.72 PR7.78 グリフィン20登6勝5敗0S/0H 121回 責37率2.75 PR5.92 メンデス16登5勝5敗0S/0H 87回 責20率2.07 PR10.83 横川凱20登4勝8敗0S/0H 84.1回 責37率3.95 PR-7.12 菅野智之14登4勝8敗0S/0H 77.2回 責29率3.36 PR-1.47 赤星優志12登5勝5敗0S/0H 69回 責26率3.39 PR-1.53 ・救援 ビーディ30登0勝6敗1S/7H 49.2回 責22率3.99 PR-4.41 菊地大稀50登4勝4敗1S/11H 47.2回 責18率3.40 PR-1.11 高梨雄平55登2勝1敗0S/23H 43回 責20率4.19 PR-4.78 中川皓太44登1勝4敗14S/17H 43.1回 責10率2.08 PR5.34 田中千晴30登2勝3敗0S/3H 32.2回 責20率5.51 PR-8.42 船迫大雅36登3勝1敗0S/8H 30回 責9率2.70 PR1.63 大勢27登3勝0敗14S/1H 26回 責13率4.50 PR-3.78 PRはリーグ平均防御率より悪いとマイナスになる。リーグトップの先発投手のPRは20を超すが、この年の巨人は戸郷の15.30が1位、戸郷と山﨑は計算できるが、あとは不安な状況だった。 それ以上に問題があったのが救援陣だ。 主要な投手でPRがプラスの投手は左腕の中川だけ。クローザーの大勢も-3.78とリーグ平均以下の成績だった。巨人は毎年、救援投手の起用法に問題があるといわれてきた。原辰徳監督最終年も、その問題が露呈した印象だった。 では2024年の成績はどうなったか。 〈2024年〉 ・先発 戸郷翔征26登12勝8敗0S/0H 180回 責39率1.95 PR19 菅野智之24登15勝3敗0S/0H 156.2回 責29率1.67 PR21.41 山﨑伊織23登9勝6敗0S/0H 141回 責44率2.81 PR1.41 グリフィン20登6勝4敗0S/0H 116.2回 責39率3.01 PR-1.43 井上温大25登8勝5敗0S/2H 101回 責31率2.76 PR1.57 赤星優志21登1勝7敗0S/1H 75回 責26率3.12 PR-1.83 ・救援 バルドナード58登2勝3敗9S/26H 51.2回 責14率2.44 PR2.64 ケラー51登2勝2敗1S/19H 46回 責8率1.57 PR6.80 高橋礼11登2勝2敗0S/0H 46.2回 責19率3.66 PR-3.94 大勢42登1勝2敗28S/5H 40回 責4率0.90 PR8.89 船迫大雅51登4勝0敗0S/22H 38回 責10率2.37 PR2.24 泉圭輔35登2勝0敗1S/5H 37.1回 責8率1.93 PR4.02 高梨雄平50登4勝3敗0S/24H 34.2回 責8率2.08 PR3.16 平内龍太31登1勝2敗0S/2H 33.1回 責8率2.16 PR2.74 西舘勇陽28登1勝3敗1S/20H 30.2回 責13率3.82 PR-3.13 34歳となり、ピークを過ぎたと思われていた菅野が目覚ましい復活。2年ぶりの2ケタ勝利を挙げ、自身4回目となる最多勝にも王手をかけている。戸郷との「二枚看板」ができたことで、山﨑や井上らが成長した先発陣がさらに安定感が増した。 菅野の復活以上に大きかったのは、救援投手陣が整備されたことだった。 クローザーの大勢が復活したうえに、阪神から移籍したケラー、ソフトバンクから来た泉、2年目の船迫と新しい戦力によって「勝利の方程式」ができた。中継ぎ投手を増やすなど、一人の投手に大きな負担がかからないようにした阿部慎之助新監督の采配は優秀だった。
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