Media Briefing[日本版]:☕️ Cookie 終了でディスプレイ広告、リテールメディア、ストリーミングに起きること🤔
Cookieの消滅はChromeというブラウザ上に限った話で、いま現在デジタル領域で起きているあらゆる事象の元凶がGoogleというわけではない。 しかし、Cookie消滅が池に投じられた小石のように水面で徐々に波紋を広げていき、我々が想像しているよりも遠い岸にまで届いているのも事実だ。その意味で、石を投げ込んだ存在にも多少の「責任」はあるだろう。 今回Media Briefing[日本版]では、そんな波紋が届いた「ディスプレイ広告」「リテールメディ」「ストリーミング」の状況を読み解く。
ターゲティングも測定も崩壊するが、ディスプレイ広告の支出は大きく変わらず
これまで繰り返し伝えているように、Cookie喪失がトラッキングやターゲティング、効果測定に大混乱を引き起こしている。ということは、その影響が直撃するであろうディスプレイ広告への投資は衰退の一途を辿っているのか? その答えは「NO」だ。意外だろうか。 米DIGIDAYの調査では6人のエージェンシー関係者のうち、ディスプレイ広告費が顕著に減少したと述べたのはひとりだけだった。結局のところ、昔もいまもディスプレイ広告は消費者の注目を集める安上がりで効率のいい手段なのだ。 もちろん、広告主もエージェンシーもCookieなき世界を想定して、ファーストパーティデータ主導の戦略に移行しようとはしている。現在のカスタマージャーニーを効果の薄いディスプレイ広告で埋め尽くすのではなく、洗練された先進的なデータ連係こそがデジタルマーケティングの未来となる。 ただ、Cookieが抜けた大きな穴を、代替データの寄せ集めで埋めようとするのは容易でない。
個人へのターゲティングでストリーミングが圧勝
とはいえ、ディスプレイ広告が安泰というわけでもない。カルチュラルマーケティングエージェンシーのSensis Agencyでプレジデントを務めるホセ・ヴィーヤ氏は、「ディスプレイ広告の全盛期でさえ、優秀なブランドドライバーでは決してなかったし、劣化の一途をたどっている」とする。 仮にパフォーマンスの面で評価するとしても、ディスプレイ広告ではデータの欠如で効果的なターゲティングが難しくなっているのは先述の通りだ。ヴィーヤ氏は「ディスプレイ広告の時代は終わった。一部の広告主にとっては、いまはまだ終わっていないとしても、いずれ終わるときが来る」と断言する。 では、終わっているディスプレイ広告への支出はどこへと流れていくのか? ストリーミングの動画広告や音声広告だ。動画視聴が地上波からネット配信に移行するに伴い、ストリーミングプラットフォームへの広告費の移動も進んでいる。 技術的な進歩のおかげで、ストリーミング配信でもオーディエンスの測定やターゲティングが可能になっている。しかも、同じページに複数のディプレイ広告が同時に表示されるのとは対照的に、ストリーミングではほとんどの場合、ひとつずつしか表示されない。個人へのターゲティングにおいてGoogleが敗退する一方、ストリーミングが勝者となるのは確実だろう。 まあ、可能であることが完璧を意味するわけではないが。